地縛霊―4― ページ4
"「それで、今日から新しい家に引っ越したんでしょ?どう?」"
電話越しに姉貴の声を聞きながら、地縛霊を片目で見やる
生憎新居には地縛霊が住み着いてたなんて言えば、一体誰が信じるだろう
「まぁまぁ」
"「あんた、学校から一番近いマンションで、しかもリフォーム済みなのに敷金礼金なしの超優良物件をまぁまぁだなんて……。私なんてケチられて狭い1DKのアパートで――」"
「おい、そんな事の為に電話して来たなら切るぞ」
"「せっかくお姉ちゃんが心配して電話したのに。それに、もしかしたら泊まらせてもらう事も無きにしも非ず、でしょ?」"
「断る。てか、そんな事して困るのはそっちだろ」
"「あはは、確かに。冗談冗談。あ、でも遊びには行くかもしれないから、その時は大事なものはちゃ〜んと隠しておいた方がいいよ?」"
俺はそのまま電話の終了ボタンを押そうとしたが、親指が画面に触れる直前で止まった
そして、また耳元にスピーカーを戻す
「……聞きたいことがある」
"「珍しいね、どうしたの?」"
「地縛霊を成仏させるには、どうしたらいいと思う」
"「地縛霊?また急だなぁ……うーん……まぁお決まりなのは、未練を晴らすとか?」"
「っ!……まぁいいや。じゃぁな」
"「ちょ、なんなの――」"
そこで俺は一方的に会話を終わらせ、終了ボタンを押した
なんでこんな簡単な事を思いつかなかったんだ
そうだよ、未練さえ晴らせばこいつは成仏するんじゃないか?
「お前、この世に未練があるから成仏できないんじゃないか?」
『あぁ、なるほど!だから私は成仏できないんだ!』
「それで、お前の未練ってなんだよ。それさえ晴らせばおさらばってわけだ」
『すごい!ナイスアイディア!……って言いたいところなんだけど、私、自分が何の未練を残しているのかわからないんだよね』
「はぁ!?」
『だって気が付いたら死んでて、記憶もなくなってたんだもん。思い出せたのは自分がAって名前だったってことだけ』
「何だよそれ……結局振り出しに逆戻りかよ……」
『ま、ゆっくり考えようよ!これから長い付き合いになるんだし!貴方も考えるの疲れたでしょ?』
「……花宮だ。花宮真」
『っ!うん、じゃぁよろしく!真!』
「だから、俺は地縛霊なんざと仲良くする気はねぇ!」
こうして、地縛霊と奇妙な共同生活が始まることになった
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/
作成日時:2019年10月1日 17時