地縛霊―23― ページ23
「一年生の委員はこっちに集まってください」
「瀬戸、働け」
「えー……ねみぃ」
たまたま一緒になった図書委員の瀬戸を叩き起こす
今日で書架整理も三日目
俺達一年は収集された後、カウンター裏の旧書庫へと入れられた
普段は立ち入り禁止となっているが、中はほとんど物置状態となっている
昔の旧校舎から持ってきた本や、使い道があるのかもわからない資料がずらりと並ぶのを見て、また何人かの生徒が溜息をつく
この中も手分けして作業をする中、瀬戸がある戸棚の前で立ち尽くしていた
「花宮、これ」
「?」
瀬戸の指をさす方向に目線を向けると、そこには歴代の卒業アルバムが丁寧に収められていた
「たしか、ここの卒業生だったろ?見た事あんの?」
「……ねーけど」
姉貴もここの卒業生だった
だが、俺は姉貴の卒アルを見た事がない。それは親も同様。姉貴が頑なに見せようとしなかったからだ
姉貴は「変な顔をしているから、見せたくない」と言っていた
当時小学生だった俺は、好奇心に姉貴が留守の間、中身を見ようとした事がある
結局姉貴が帰って来て見つかったが、その日始めて姉貴に怒鳴られた
それから数日間口をきこうとしなかった姉貴を、不思議に思ったのをよく覚えている
そんなに怒るものか、と
「変な顔をしているから、見せたくないって言われた」
「だったら今見よーぜ」
「悪趣味」
瀬戸が8年前の卒アルを手に取った
中を開くと、まずは校長の写真が出てくる。それから古びた校舎の写真、教師の写真、そして1年1組の写真へと移る
俺はそこで目を見開く
瀬戸に「貸せ!」と言って乱暴にアルバムを取り、生徒が着ている制服を見て驚愕する
間違えるはずがない
毎日見ていたんだ
Aが着ているセーラー服は、昔の霧崎第一の制服
頭に衝撃が走る
瀬戸に「花宮?」と声をかけられるが、俺はそれを無視してページを進める
そして、1年3組のページでその手は止まった
「香椎、A……」
そこには、笑顔で写るAの写真があった
"
俺の家に住み着いている地縛霊と、同じ顔。同じ名前
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/
作成日時:2019年10月1日 17時