地縛霊―22― ページ22
リビングに戻ると、Aはソファで蹲っていた
俺が近づくと顔を上げたが、涙の跡と、スカートの跡でボロボロになっている
『あーちゃん……あーちゃんだった……間違いない……』
「……なんでお前が俺の姉貴の事知ってんだよ」
『わからない……わからない、けど……あーちゃんを見た時……あーちゃんだってわかったの……でも……思い出せない……』
そう言うと、またAは顔を膝に埋めた
姉貴自身も、Aの事を全く知らないというわけではなさそうだった
ただ、気になるのは……姉貴の反応
Aもわからないと言うだけだし、本人に聞くしかなさそうだ
次の日の朝
まだ混乱しているのか、Aの顔は曇ったままだった
そんなAに、俺は自分から「行ってくる」と、覚悟の意を込めて言った。Aは俺から挨拶をした事に驚いている様子だったが、何かを察したのか微笑んで見送った
姉貴はAの事情を少なからず何か知っている
もしかしたら、あいつの未練のヒントとなる情報を手に入れることができるかもしれない
いい加減あの部屋からも、俺からも、あいつを解放させてやらないといけない……。あいつが望む以上、約束通り、手伝ってやるよ
「話がある」
「ごめんなさい、ちょっと今、急いでいるの」
学校に着くなり雛森に話しかけるが、俺を見るなりそそくさと去って行く
「おい」
「授業の事以外なら、また今度にしてくれない?」
授業終わりに捕まえようとしても、まるで俺を避けるように雛森は逃げる
それを見ていた原が「ふられた?」と茶化してくるが、「うるせー」と言ってドカッと席につく
ヒントは目の前にぶら下がっているのに、手が届かないもどかしさ。次第に俺のイライラは募る
「図書委員は今日の放課後図書室に集まるように」
さらに追い討ちをかけるように、担任が言った
図書委員なんて大した仕事じゃないと思って適当に入った委員会だった
俺は部活前に渋々図書室に向かう
「今日から書架整理を手伝っていただきます。やり方と役割分担の説明をするので、よく聞いてくださいね」
周りの生徒が溜息を漏らす
無理もない。この量の本を整理するとなると、何日かかるかわかったもんじゃない
「わざわざこのタイミングじゃなくてもいいだろ」と、俺も心の中で舌打ちをする
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/
作成日時:2019年10月1日 17時