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「そんな、どうして、」
eml「実は実家で不幸があって…ほんますみませんけど、今日はお休みいただきます」
私は今、二つの意味で絶望していた。それはもちろん、今日学校に楽器を届けなくてはいけないという役目を負うことになったこと。それから、「なんでこんな時に限って休みなの」とエーミールに思ったこと。
「…こっちは大丈夫。ちゃんとお別れしてあげて」
そう伝えて電話を切り、「貸し出し用」のタグがついたトロンボーンを持って学校へと向かった。
***
「楽器店の者です。貸し出し用の楽器を届けに来ました」
放課後音楽室に入ると練習前だったようで、それぞれケースから楽器を取り出しているところだった。
「助かりました！ありがとうございます！
楽器を受け取った女子生徒は素早くお辞儀をし、トロンボーンのパートの子たちのところへと戻って行く。
tn「Aさん」
その男はまるで何事もなかったかのように、軽い会釈をしてきた。
tn「ご足労いただきありがとうございます」
一歩、また一歩とこちらに近づくたび、心臓を直で踏みつけられているように痛かった。
tn「トロンボーンは」
「お渡ししました」
聞かれたことにだけ、シンプルに答える。
tn「それじゃあ、スコアの相談…早速いいですか？」
別の日でもいいですか？実はこの後用事があって早く帰らなきゃいけないんです、なんなら別の者を寄こしますので。色んなセリフを用意してきた。しかし、その全てが自分の思う通りの結果を描いてくれそうにはない。
「はい、…お願いします」
だから、現状の最適解を彼に提示した。それは、この男に従うということ。スコアが保管されているのは、音楽室の中にある楽器保管室のさらに奥。吹奏楽としての歴史が長いからこそ、スコアを保管するための部屋がわざわざ設けられている。部屋と言えば聞こえがいいが、実のところそこまで大きな部屋ではない。六畳ほどの狭さに、真ん中には小さな学校机が一つ、四方を棚で埋め尽くされただけの簡易的な保管部屋。楽曲の名前に加え、大会の課題曲ごとにまとめられているこの部屋には、何度か出入りしたことがある。
tn「次回の演奏会で使うスコアの注文をしたくて」
男は持っていたバインダーから紙を取り出し、机の上に置いた。
続く (更新停止中)
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Alex(プロフ) - ひすいさん» 感想本当にありがとうございます！すごく嬉しいです…！実習の時に何があったのかとか、tnのパスみなどが出てくると思いますので…少々お待ちくださいませ！ (2022年9月24日 22時) (
レス) id: 130555b457 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 今回の作品も学校、部活動から得られる青春の感じも勿論あるのですがその中に不気味で真っ暗な穴の底を覗こうとしているような気持ちが湧き上がってきて、教育実習の時に2人の間になにがあって事件に繋がったんだろう、など色々考えてしまって今から続きが楽しみです (2022年9月24日 2時) (レス) id: 85256ab897 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 新作、今気づいて拝読させて頂いたんですがとてもゾッとしました。Alexさんの作品で初めて読んだのは「魔女集会で会えたら」シリーズだったのですが、その時からAlexさんの書かれる空気感がすごく大好きで魔女集会シリーズはよく見返しています。 (2022年9月24日 2時) (レス) @page1 id: 85256ab897 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2022年2月13日 21時
