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エーミールとの出会いは、大学生の時。こんな間柄になる前は、取っている授業がたった一つだけ同じという関係だった。お互いにお互いの存在はきっと知らない。彼は大講義室の前の方で、私は後ろの方で授業を受ける学生。入る扉も違えば、出る扉も違う。着ている服も違うし、会話のネタもきっと違う。私はブランド物のバッグを持って、彼は荷物の沢山入るリュックを。背の高い彼に比べて、私は背が低い。暇さえあれば飲みに行く私とは違って、毎日のように教授の研究室へ通う彼。ほら、全然違う。それなのに、どうしてか彼と付き合ってしまったんだ。その、たった一つの確かヨーロッパ史の授業だったと思う。二月になって小論文を提出しに先生の研究室へ行くと、マスクをかけたエーミールがいた。
eml「先生待ってます？」
「あ、うん。…小論文提出しに来た…だけ…」
へー、こんな声なんだ。低い声に、少し得意気な話し方。三メートル程しか離れていないのに、ほんのちょっと大きな声。
eml「今不在やって。しくじったわー…」
「どうして？」
eml「私、インフルエンザだったんですよ。ついこの間まで」
なるほど。今日は小論文提出の期限まで、あと一週間というところ。きっと生真面目な彼は、提出開始日に出すんだとばかり思ってた。だけど、そんなことがあったなら仕方ない。
eml「ちなみにテーマは何にしたんですか？」
この時点で私は、彼と喋ることが少しだけ面倒くさいなと思い始めていた。先生がいないなら出直すし、別に彼と話す理由はない。
「なんだっけ…歴史と硬貨の話について。金貨、銀貨から紙幣になってーみたいなところを書いた」
彼はキョトンとした顔をして、ゲホゲホと咳なのか笑いなのか分からないような咽せかたをした。
eml「あ、あんなつまんなそうなテーマ選ぶ人おったんすね…」
ズレたマスクを直すエーミール。
「じゃあ、あなたは何のテーマなの？」
すると彼は無言で小論文の紙を見せてきた。それを読んで、私も彼に言ってやった。
「こんなクソつまんないテーマ、私以外に選ぶ人いたんだね」
それから彼は私の中で、同じ授業を取る一人から、同じくクソつまらない小論文のテーマを選ぶ学生という位置づけになる。
彼の名前はエーミール。そのつまらなそうな小論文のテーマの脇に、几帳面そうな字で書かれていた。
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Alex(プロフ) - ドナドナさん» ありがとうございます！アラルカァイがよく分かりませんが、喜んでくださって光栄です。お辛い経験されたんですね。心中お察しします。 (2020年4月19日 21時) (
レス) id: 68d9b196e6 (このIDを非表示/違反報告)
ドナドナ - この作品がすごすぎて、目から滝のようなアラルカァイが...夢主のお話が自分にそっくりで、なんとなく嬉しかったです。ありがとうございました。 (2020年4月19日 1時) (レス) id: e73edfc34e (このIDを非表示/違反報告)
きぃ(プロフ) - ｳｫｫｫｫｫｫｫｵｵｵｵｵﾝ!!!!!!(*ﾉД`*)･ﾟ･。 (2019年9月2日 2時) (レス) id: d9682ceb69 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - おつるさん» 涙ふきふき。そう思ってくださり、ありがとうございます！今度はうれしい涙が流れてしまうような話を考えます！ (2019年8月8日 19時) (レス) id: 8d1909fe0c (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - ぐろこさん» ご覧いただきありがとうございます！ちょっと悲しすぎましたね…次はほっこりエーミールを書いてみます！ (2019年8月8日 19時) (レス) id: 8d1909fe0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2019年5月25日 14時
