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「エーミールさん、見えますか?これが」
診察室に通され、私たちが今見ているもの。
eml「…ええ…」
私の夫は、医師がペンで指すその先をじっと見ていた。そこには胃と、もう一つ黒い影が見える。
eml「見えます…」
彼は頭がいいから、きっと医師が何か答えを言ってしまう前に、この正体が分かっていたんだと思う。でも私は、何故だか分からない、分からない。そう駄々っ子のように心の中で叫んでいた。

「癌です。もって、半年かと」

誰か彼の言葉を嘘だと言って。

***

eml「ただいまー」
綺麗に靴を揃え、家の中へと入るエーミール。私はまだ、自分が今何をすべきなのかも分からず、ぎゅっと玄関のドアを握ったまま部屋に入れずにいた。
eml「…入らんの?」
「ん?…入るよ?」
eml「そっか…貸して、袋」
「あ、うん」
カサカサと音を立ててビニール袋が私の手から、エーミールの手へ渡る。彼は私の表情を見て、にこっと笑う。でも私はそんな気になれず、口角だけを上げてその微笑みに応えた。袋を持った彼はそのまま部屋の奥へ消えて、袋の中から食材を取って冷蔵庫に入れているようだった。ああ、そっか。消える背中を見て分かった。私がどうして今も玄関のノブを握ったまま立っているのか。

何かにすがっていないと立っていられないんだ。

生きていけないんだ。

「…いやいや、…ダメでしょ…」
鼻の奥がツンとして、目から零れそうになるそれをぐっと堪えた。

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Alex(プロフ) - ドナドナさん» ありがとうございます!アラルカァイがよく分かりませんが、喜んでくださって光栄です。お辛い経験されたんですね。心中お察しします。 (2020年4月19日 21時) (レス) id: 68d9b196e6 (このIDを非表示/違反報告)
ドナドナ - この作品がすごすぎて、目から滝のようなアラルカァイが...夢主のお話が自分にそっくりで、なんとなく嬉しかったです。ありがとうございました。 (2020年4月19日 1時) (レス) id: e73edfc34e (このIDを非表示/違反報告)
きぃ(プロフ) - ウォォォォォォォオオオオオン!!!!!!(*ノД`*)・゚・。 (2019年9月2日 2時) (レス) id: d9682ceb69 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - おつるさん» 涙ふきふき。そう思ってくださり、ありがとうございます!今度はうれしい涙が流れてしまうような話を考えます! (2019年8月8日 19時) (レス) id: 8d1909fe0c (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - ぐろこさん» ご覧いただきありがとうございます!ちょっと悲しすぎましたね…次はほっこりエーミールを書いてみます! (2019年8月8日 19時) (レス) id: 8d1909fe0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Alex | 作者ホームページ:http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/  
作成日時:2019年5月25日 14時

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