引いて重ねて2(弟者) ページ23
恥ずかしがり屋の彼の性格から続きをする事はないだろうと私はジェンガを戻そうと手を伸ばした。しかしその手は彼の手により制止された。
「いや、まぁ、折角だし。・・・ちょっと遊ばない?」
少し照れ臭そうに言いながらそっと私の頭を撫でる彼の言動に私は思わず硬直するも、奥手の彼がそこまで言うならと彼の提案を受ける事にした。
「弟者がそう言うのなら・・・。じゃあ、引きますよ?」
「どうぞ、どうぞ」
「えーと、私のは“手を繋ぐ”」
引き抜いたブロックを確認し私は彼の手に自分の手を重ねた。
「じゃあ次は俺ね。・・・“好きなところを言う”。改まると恥ずかしいなこれ」
そう言って彼は照れ臭そうにしながらも私の好きなところを伝えた。
そんなやり取りを数十往復かし、いよいよ残りの積まれたブロックが少なくなってきた。
「結構こなしましたね」
スカスカのジェンガを見つめながら次は何処を引き抜こうかと私は思考を巡らせる。
「最初は構えちゃったけど意外と余裕なお題ばっかりだったなー」
そう笑いながら彼は引き抜いたブロックを確認するや否や、全ての動きが一瞬にして止まるかのように硬直した。
「どうしました?」
「いや、えと、俺の負けで良いから終わりにしない?」
私の問い掛けに慌ててブロックを手の中へ隠し、背中の方へとブロックを持った拳を持って行ってしまった。
「え?何引いたんですか?」
「いや、本当駄目だって!これはいけない!」
ブロックを取ろうと手を伸ばす私に彼は私の手から逃れる様に拳を移動させた。見せて見せないのブロック争奪を何度かやった後、ようやく観念したのか彼は分かったからっと言い放った。
「そんなに言うなら実行してやろうじゃないのっ!ただし目は瞑っててっ」
彼の言葉に首を傾げつつも私は言われた通りに瞳を閉じた。しばしの躊躇いの後、彼の片手が私の頬に触れそのまま首筋を撫でた。くすぐったさで思わず身動いだ私の首元にゆっくりと彼の吐息がかかり、次の瞬間、チクリと刺す様な痛みを感じた。思わぬ刺激に息を飲む私にやっぱり無理っ!と言いながら彼は私を強く抱きしめた。
「ごめん、これやるともう我慢出来ない」
彼の言葉に瞳を開けて疑問を口にするも私の唇は彼の口付けによって消され、そのまま後方へと押し倒された。スルリと彼の手からこぼれ落ちた“身体に愛を刻む”と言うブロックが床に乾いた音を立てた。
【END】
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時