創造主の末裔 with キノの過去 (ページ8)

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第8話ページ8

血は初潮だった。

妊娠ができる身体になったという証。

キノが少女として生活していた時代は、紀元前7世紀頃だった。

まだイギリス全土だけでなく、ヨーロッパ全ての国々で領土争いが勃発しており、安定していない波瀾時代。

そのため、人々の生活も平和とはかなりかけ離れていて、略奪や殺し合いが絶えず起きていた。

モラルなどなく、貧しさと不衛生な環境から疫病が流行り、人々は神に縋るようになると、信仰も増していった。

そして、乙女の初潮は中世の中頃まで、不吉とされていたのだ。

突然股の間から出血する理由が、当時はまだ医学が発展していないせいで原因がわからず、月に一度起こる女性の病気と考えられていた。

現代では月経とは何か解明しているからわかるのだが、大昔の人々にとっては、生理というのは謎に満ちており恐れられ、女性達は皆その血を隠して生きていた。

当然、当時のキノも初潮がなんなのか全く知らない。

だが、キノの父親ーールイは違った。

初潮が何を意味するのかわかっていたのだ。

初代ウランバルトが記した書物に、血の掟のひとつとして、毎月血を流す娘を娶るべしと書かれていたからであった。

血を流したことがない娘は子を成すことは不可と記されていたのだ。

初代創造主がどのようにして解明したのか、詳しくは記されていない。

この初潮が、キノの人格を大きく歪ませる原因となるのだが……。

慣れない出血はその後も、毎月一度はくるようになり、段々とキノも慣れっこになってきた。

初潮を迎えてから数ヶ月後。

キノは、14歳になった。

美貌が更に増し、キノはそこらの少女達よりも、大人よりも美しい娘になった。

14歳の誕生日祝いは、父親とルルの3人だけにも関わらず、それはそれは豪勢に行われ、キノは嬉しさと幸せに大喜びした。

当時、14歳は大人の仲間入りとして迎えられ、男の子であれば出稼ぎや戦場へ、女の子であれば出稼ぎと嫁入り(少女の場合、早くて12歳から)が許された。

ご馳走を食べ終えたキノは、上機嫌で部屋に戻った。

鼻唄を歌いながらリズム良く人差し指を振ると、蝋燭に火が灯った。

薄暗い部屋の中、キノは尚も勉強しようと机に向かった。

ポン！と音が鳴った。

『ルル、どうしたの？』

「お嬢様……湯殿のご用意ができましたので、お呼びしました」

『え？今から？？』

キノはキョトンとなった。

入浴は、明るいうちに済ませるのが日課だったため、キノは不思議に思った。