第7話 ページ7
キノはどんどん美しい娘になっていった。
今と変わらない美しさ、成長していく姿をただ見守るように過去を見つめるこの時間がとても奇妙で異常だと、スネイプは思った。
だが本音を言うと、喜んでいる自分がいた。
出会った時から他とは違う存在。
ずっと、知りたくて仕方がなかった。
スネイプはブラベウスを見た。
ーー………もし、キノが知ったら……。
平然顔で立っているブラベウスに、スネイプはモヤッとした。
ーーこやつ……キノの過去を事細かく見せていったい我輩にどうしろと……。
「――目を逸らさず、しっかり見るのです。あなたの命運がかかっているのですよ――」
ブラベウスはキノを見つめたままスネイプに言った。
ーー……見透かされている……。
また場面がグニャリと変わる。
今度は、14歳に成長していた。
ベッドの上でそわそわする14歳のキノの顔色がどこか具合が悪そうだった。
屋敷しもべ妖精のルルが部屋に現れた。
「お嬢様、お呼びでございますか？」
『ルルー！』
キノがルルに勢いよく飛びついた。
「お、お嬢様？」
『ルル！変なの！私の身体から血がーー』
「血！？怪我をされたのでございますか！？」
ルルが仰天すると、キノがうわーん！と声をあげて泣き出した。
扉が音を立てて開いた。
泣き声を聞きつけたのだろう、キノの父親が飛び込んできた。
「キノ、どうしたんだい！？」
相変わらず歳を取らない美しいままの父親が、ベッドの上にいるキノに駆け寄った。
「お、お嬢様が血をーー」
泣き続けるキノを見ながら、ルルはオロオロして言った。
「血？どこか怪我をしたのかい？」
父親の問いに、キノは首をぶんぶん振った。
『違うの……もしかしたら……病気かもーー』
キノは泣きながら言った。
「血はどこから出ているんだい？」
その質問に、キノの顔が赤くなっていく。
恥ずかしそうに下腹を押さえると、父親の表情が変わった。
「ーー………」
『あの……その……血は……』
「そうか……やっと……」
ーーやっと？
『お父様？』
キノは父親を見上げた。
父親は笑顔だった。
『……？』
「ルル、説明してあげなさい」
「は、はい。ご当主様ーー」
『お父様？』
キノは父親の笑顔の理由がわからなかった。
「キノ、身体が辛かったら部屋で大人しくしていたほうが良いよ。お前の身体は以前とは違うからね」
『え？』
父親はキノの頬に軽いキスをして部屋から出ていってしまった。
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
