第48話 ページ48
ローズに定期的に手紙を送ることを約束して、キノは魔法陣で旅立っていった。
「――……彼女が此処へ戻ってくる所まで時を進めます――」
え！？というスネイプの反応をブラベウスは無視して指を鳴らした。
情景が物凄い勢いで変わり、場所はホグワーツの玄関ホールで止まった。
20代頭のキノが何百人という数の少年少女達に囲われ群がられて別れを偲んでいた。
皆口々にキノがここを去ることを嫌がっていた。
スネイプはピーブズがいることに気がついた。
ーー！この時代から居たのか！？
『皆……本当にごめんね』
キノは涙を流しながら、二人の少女を抱き締めた。
「先生……私達がちゃんとこの子達をしっかり教育しますわ」
声をかけてきた教師はーーヘルガ・ハッフルパフだった。
「先生！ホグワーツのことは我々に任せて、家庭の事情とやらが無事に解決したら、またここへ戻って来てください！！」
ハキハキした声の主はーーゴドリック・グリフィンドールだった。
「先生……貴方は私の恩人であり師です。私をここまで育ててくださり……ありがとう……ございました。どれだけ……先生に迷惑をかけたかーーシャルルの件……それと私の娘のヘレナのこと……本当に、本当にご迷惑ばかりかけて申し訳ございませんでした！」
号泣しながら嗚咽混じりに礼と謝罪をしてきたのはーーロウェナ・レイブンクローだった。
『ロウェナ、過ぎたことはもう過去として思い出としていなさい。私は気にしていないよ。お前達と出会えたことが全て、掛け替えのない宝物。ここで過ごした30年間は本当に素晴らしい日々だった。皆、ありがとう。また此処へ戻ってこれるように努力するからーーだから、さよならは言わないよ』
その言葉に、全員が声を上げて大泣きした。
生徒のみならず、教員達もキノの別れに悲しんだ。
唯一居なかったのはーーサラザール・スリザリンだけだった。
「先生……サラザールを呼んできます！挨拶に出向かないなんてーー恩知らずにもほどがーー」
『いいよ。そっとしてあげてくれ。昨夜、ちゃんとサラザールと会って話したから。見送りはしない！てはっきり言われたしね』
「だからってーー」
『ごめん、そろそろ行かないと。余韻に浸りたいから、門まで歩いて行こうかな』
「じゃあ僕もーー」
『ここでお別れだよ。ニコラス、立派になるんだよ』
付き添おうとした少年は、なんと、後の首無しニックだった。
キノに頭を撫でられ、少年は涙を流した。
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
