その３１ 蒼は、実は怖がり。 by林 ページ2
ー約2カ月後の放課後ー
No side
蒼と林は夕陽の差す道を歩いていた。
学校からの帰り道。
二人の顔には疲れたような表情が見える。
突然、蒼が立ち止まって何かを思い出したように叫んだ。
「理科室に問題集を忘れてきちゃった！！宿題なのに！」
彼はいつも通りやらかしたようだ。
「取りに戻れば？この距離だったら学校までそう遠くはないよ。」
林が提案する。
「でも、既に最終下校時刻は過ぎているから……。」
現在は18:07。最終下校時刻の18:00はとっくに過ぎている。
「先生に事情を説明すれば大丈夫だと思うよ。」
林がそう言ったのが、まずかった。
「分かった。林、お前も来い！」
蒼はお供という名の道連れを林に決めたようである。
「ごめん、俺は用事が……ってやめろ！はなせ！！」
蒼は林の腕をつかんだ。
「捕獲完了。連行しま〜す！」
橙色に染められた道に、林の奇声がこだました。
＊＊＊
奇声を上げ続ける林を半ば引きずるようにして、なんとか二人は学校まで戻った。
職員室の扉をそっと開け、先生方の視線と戦いながら理科の先生の所まで行く。
「あの……。忘れ物をしてしまったので理科室に取りに行ってもいいですか？」
「いいよ！」
理科の先生は快く返事をし、蒼に鍵を渡した。
蒼と林は理科室へと駆けていった……。
再び静かになった職員室。
理科の先生は隣に座っている先生に話しかけようとして、ふと、とある事を思いだした。
「あ、最終下校時刻後の理科室に生徒が入ると……。」
＊＊＊
「一人で戻れよ！」
「だって、寂しいんだもん。」
林と蒼が口論をしている。
「……本当は怖いだけでは？」
「ソ、ソンナコトナインダケドナ〜！」
蒼は頑張って誤魔化そうとしているが、バレバレのようである。
「仕方がないな〜でも、まだ暗くなっていないし怖い事なんて何もないよ。」
「でも、なんか理科室って人体模型が沢山あるし……。」
「それなら、尚更俺を巻き込むなよ！！」
蒼はスライディングジャンピング土下座をした。
制服のズボンが破けない所をみると、よほど丈夫な素材でできているのだろう。
その３２ 人体模型ちゅわ〜ん！出ておいで〜！ by蒼＆林→←登場人物設定
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作者名：紅葉姫 | 作成日時：2022年5月11日 8時
