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37話 ページ38

Aくんは、狐くんの首を掴みながら満面の笑みで喜びを示すジャンプをする。ジャンプのせいで、首から垂れた血液がそこら中に飛ぶ。やっと状況を理解したのか、狐くんの首なしの身体が倒れ、痙攣しはじめた。

Aくんは狐くんの首の断面図にキスをして、血を啜る。いつもは黒く濁っている目が、この暗い路地裏でも煌々と輝いていて、オレはげんなりと溜め息を吐く。


「Aくん、ただいまっス。うん、ちゃんと一撃っスね。良い子良い子」

「えへへ」


頭を差し出してくるのを撫でてやると、満足そうな顔をしている。








『Aみたいなクズが、二度と生まれて来ませんように』

──それなら!



あの時、オレは犬歯を剥き出して吠えた。



──Aくんの番じゃねーでしょ!

──……え?

──そうやって祈るだけじゃ何にも変わんないんスよ。ケッ、これだからいいとこ育ちは

──どういう……

──あのね、Aくんよかクズな輩ってのは、いっぱ〜い居ンのよ。世間知らずなAくんは知らないかもっスけど

──……いや、わかる、よ



──クズが死ななきゃ治んないっつーんなら、自分殺しの前にもっとクズなそいつらやんねーと!順番が違げーっスよ!



──た、たしか、に?

──どーせそいつら生きてたってロクな死に方しねーんだから、Aくんが一撃で苦しくなく殺ってやれば、一石三鳥じゃないっスか

──たしかに

──だしょ?さ、もーわかったら飯食ってくださいっス。何かすんにも、もう少し健康になんねーと




Aくんは首を傾げながら、しかし頷きながらオレと一緒にカレーピラフを作って食べて風呂に入って、疲れていたので、ソファに2人で座ってうとうとして。



──ね、ね、Aよりクズなひとを全員居なくしたら、Aの番?


オレの膝の上に頭を乗せてそれを尋ねるAくんの声は、様々な感情を含んでいるせいか、逆に単なる事実として問うているからなのか、あまりにも色が見えなかった。

オレは軽く頷く。


──そーっスね

──その時は、ラギちゃが、終わらせてくれるの?

──あー……


そう来るか、と思う。Aくんよりクズな奴をAくんが全員殺るなんてことは現実的に出来ねーだろうから、別に安請け合いしてやってもよかったけど、オレはちゃんと悩んであげた。

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功徳(プロフ) - オパールさん» ありがとうございます!よろしければ他の作品も読んでくださると好みに合うかもしれません🥰 (11月10日 20時) (レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - とーっても…面白かったです!この作品を作ってくれて、ありがとうございます! (11月10日 19時) (レス) @page42 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 新.sinさん» 一気読みありがとうございます!これを気に入ってくださった方は私の別作品も気に入っていただけそうなのでおすすめさせていただいております……💕重ねてお読みいただきありがとうございました🥰🥰🥰 (2022年8月14日 16時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
新.sin(プロフ) - 一気読みしてきました。私が占ツクで見てきた作品史上最も好き!!って思いました!!素敵な作品をありがとうございました! (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: 03f8c9269c (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 黒恋さん» わーーいありがとうございましたお疲れ様でした〜!!!本当にありがとうございます……💕💕💕嬉しい嬉しいなあ…… (2022年6月2日 18時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたし | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年10月26日 9時

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