【◇】年下はお断りです 2

年下79 ページ30

小湊






ピー、というホイッスルが耳障りに響く。





『試合終了ー！！！』







そのアナウンスと

相手チームの歓声で



俺達の夏は静かに幕を閉じた。








・






・







「……バカ小湊」





誰よりも早く片付けを終わらせてスタジアムを出たところだった。

その声に前を向くと仁王立ちで立っている高野。






「お前に言われたくない」







ていうか会った瞬間そーゆー事言う？俺これでも死ぬ気で頑張ったんだけど、と笑うと

「強がってんじゃないわよ」と睨まれた。





「ホントは悔しいくせに」

「そりゃ負けちゃったからね」





当たり前のように言う。

するとよく見ると涙を堪えているのか唇を必死に噛んでいる高野。






「だから強がんないでって言ってんじゃんっ！」






本当は負けちゃったなんて言葉で片付けられるほどの気持ちじゃないでしょ







「ずっと見てたからわかるっ！」






必死に叫んでいる。




……なんでこーゆーときだけ鋭いんだか。



怪我だってそうだった。

口ではあー言ってたけど本当は監督になんて言うつもりなかったんだ、きっと。






「……お前っていっつも余計なこと言うよね」






少し歩いてちょうど肩に手が届くところまで近づく。






「事実突きつけられても困るだけなんだよ」






責任、取って。






そう言って俺よりいくらか小さい肩に頭を預ける。



すると高野は一瞬ちょっと驚いたのかビクッとしたけど、すぐに「頑張ってたのは伝わったから」と言って頭に手を置く。






「ずっとずっと見てたから」





その言葉を聞いて

気づいたら両手をその背中に回していた。






・

年下80→←年下78

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す