33話:痛む胸 ページ34
.
そこら辺に居る女にこんな事をされたら苛ついて
殴っていただろう
けど雪に対してそんな気持ちは湧かなかった
寧ろ、なんだか温かくて少しむず痒くて
胸がキュウっと締め付けられた
空っぽだった何かが満たされていく感覚がする
『そろそろ真一郎君のとこ行く？』
イザナ「...そうだな」
雪の前では“王”の成りを中々出せず
ただの15歳の男の子になってしまうイザナだった
そうして、バイク屋に着くと
イザナは真っ直ぐ真一郎の所に向かった
イザナ「真一郎！ケツ乗ってよ、ちょっと走ろ？」
真一郎「オウ、いーね。ちょっと待ってろよ
あ、雪も一緒だったのか」
『ついでみたいに言うンじゃないよ
店番してやンねーよ？』
そう不満げに言う雪を見て
真一郎は苦笑しながら、その指通りのいい髪をした
頭を撫でてやる
真一郎「ごめんって、そんなわかりやすくいじけんなよ」
『いじけて、ないし...ガキじゃあるまいし』
真一郎「はは、オレからしたら充分ガキだって」
『...ｯ』
真一郎の一言に、雪はズキッと胸が痛んだ
本当にこの男は鈍感で女心がわかってなくて
デリカシーのない馬鹿だ
雪は、わかりやすく変わってしまった表情が
真一郎に見えないように俯いた
『...ばか』
真一郎「ん？何か言ったか？」
『別に！なんでもない！！
ほら、早くイザナと行ってきなよ！！』
真一郎「ちょっ、そんな押すなって！！」
『兄弟水入らずドーゾ！！』
最早ヤケになって真一郎の背を押して
店から追い出す雪
「それじゃあ店番頼むな！」と言って
イザナの後ろに乗って遠ざかるのを見送ると
その場にしゃがんで顔を隠して
雪はまた『真一郎君のばか...』なんて呟いた
その時、後ろから声をかけられた
青宗「雪...？」
『青宗...来てたンだ』
青宗「あぁ、真一郎君の話聞きたくて...
それにバイクもカッケェし...」
『青宗は本当に真一郎君とバイクが好きだね
最近よく来てるよね』
何事もなかったように平然を装う雪に青宗は言う
青宗「雪...なんでそんな悲しそうにしてるんだ？」
『...大丈夫、なんでもないから』
青宗「...」
弱々しい声、少し震えてもいた
青宗は雪を見ていて、嫌でもわかってしまった
ズキッと胸が痛んで顔を顰めた
青宗「雪は...真一郎君が好きなのか？」
『...初恋の人なの、けど相手にされてない』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 462人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 来羅さん» 東卍創立は、黒龍ですしね……ようやく、ドラケンやタカちゃん、一虎達と会える！！どうなるか楽しみです！ (2023年1月25日 20時) (
レス) @page41 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 来羅さん» 夢主に怒られるのは、クリスマスのあれですしね。その時に、ココも一緒に怒られますね…しば家の騒動だし…原作はどうなるか楽しみです (2023年1月25日 19時) (レス) id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - 鈴桜(元シオン)さん» イヌピーは数年後に夢主ちゃんに怒られる未来が待ってますね！多分イザナも怒られます！これから東卍結成の話に持っていくので更新をお待ち下さい！！ (2023年1月25日 18時) (レス) @page1 id: b52bee30b8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 来羅さん» イザナに話したかぁ……黒龍の8代目ってなら、イヌピーもついてくやん！そして、9代目の黒龍と東卍の対戦… (2023年1月25日 15時) (レス) @page39 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - 鈴桜(元シオン)さん» コメありがとうございます！楽しみにして下さり嬉しいです！イザナとの絡みはこれから数話に渡って書いてく予定です！ (2023年1月24日 20時) (レス) @page36 id: b52bee30b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：来羅 | 作成日時：2023年1月19日 20時
