とある探偵社の双子の女医

蝶が３頭 ページ5

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国木田が先に中に入っていく。

入り口から見た光景は片手を広げて立っている太宰と、服装からして先程国木田が云っていた”太宰が拾った孤児”と思われる少年が倒れている薄暗い倉庫だった。

否、正確に云えば少年は”寝ていた”のか。


国「おい太宰！」


誰も声を出しにくいこのカオスな状況の中で、国木田がお構いなくとでも言うかの様に沈黙を破る。
この人も中々な…。


太「ああ、遅かったね。虎は捕まえたよ」


太宰が少年を指差し乍、云う。

…少年を？(・・・)

国木田は一歩踏み出すなり、驚愕の顔色を浮かべた。


国「！その小僧……じゃあそいつが」

太「うん。虎の異能力者だ。
変身してる間の記憶がなかったんだね」


なるほど。だから太宰は孤児を拾ったのか。
それにしても虎に変身する異能力者、ねェ…。


国「全く＿＿＿次から事前に説明しろ。肝が冷えたぞ」


そう云って国木田が取り出したのは１枚の紙。


太「簡潔的で実にいいメモだ！」


…何が書いてあるか判らないが、太宰のことだ。
説明が不十分だったのだろう。

まァ、太宰は初めからその子が虎に変身する、ッてことは判ってたみたいだ。


国「おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。
皆に酒でも奢れ」


国木田がクルッと踵をかえす。
太宰は此方が暗くて見えないのか、状況を飲み込めていないといった表情だ。
Aを含めた４人がスッと倉庫の中に入っていく。

すると太宰は”非番の奴ら”に気づいたらしく、ニッと口角を上げ、豪華だねぇと呟いた。



与「なンだ。怪我人はなしかい？つまんないねェ」

与謝野晶子＿＿＿＿＿能力名『君死給勿』


貴「やっと死人が出たと思ったのに。残念ね」

与謝野A＿＿＿＿＿能力名『人ヲ殺シテ死ネヨトテ』


乱「はっはっは！中々できるようになったじゃないか太宰。
まあ僕には及ばないけどね！」

江戸川乱歩＿＿＿＿＿能力名『超推理』


賢「でもそのヒトどうするんです？自覚はなかったわけでしょ？」

宮沢賢治＿＿＿＿＿能力名『雨ニモマケズ』


国「どうする太宰？一応区の災害指定猛獣だぞ」

国木田独歩＿＿＿＿＿『独歩吟客』


太「うふふ。実はもう決めてある」

太宰治＿＿＿＿＿能力名『人間失格』



太宰はチラリと寝ている少年を見た。

そして水素爆弾的発言を口にした。


太「うちの社員にする」


……は？

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