18話 ページ19
「絶対大丈夫なんかじゃないよね。
頭、痛いの？それとも何かあった……？」
「……少し、頭痛が酷くてね」
ビクターの貸してくれた大きな傘の中、ルカはずっと後ろを向いたままだった。
だけどしばらくして振り返り、ルカがぶっきらぼうに短く答えた。
痛みに耐えている彼の表情は辛そうで。
それを見ていると何故か私まで苦しくなってしまいそうだった。
「このままだと、余計に悪化しちゃう。
だから医務室に」
きっと長い間雨に当たっていたのだろう。
ルカはずぶ濡れで、このままだと風邪を引いてしまいそうだ。
そっとルカの方へ手を差し伸べながら言う。
ルカはその手を振り払い、私の言葉を遮った。
「……その必要はない。
頼むから、今は放っておいてくれないか
ひとりに、なりたいんだ」
「ルカ……」
私の顔を見て、ルカは一瞬しまったという表情を浮かべた。
でもすぐに苦痛に満ちたもの変わってしまった。
「このままだと、きっと私は君に酷い言葉を投げかけてしまう。
そうなる前に、何処かへ行ってくれ……！」
ぎり、と歯を食いしばる。
ルカは試合中のような切羽詰まった様子で、私に訴えた。
ーー雨の中、こんな状態のルカを私はひとりにしたくない。
でも、ルカはひとりになりたいと私を突き放す。
彼の言う通り、ひとりにさせてあげるべきなのかーー。
どうしていいか分からない。
揺れる心を落ち着かせるため、私は目線を上げてしっかりとルカの顔を見据えた。
「……！」
頭痛の痛みと、思い通りにいかない苛立ちに満ちた表情。
だけどそれはどこか悲しそうにも見えた。
もしかしたら気のせいかもしれない。
でも私はルカが本当は誰かに助けを求めているようにも感じた。
今、この人をひとりにしてはいけないーー。
「それでも、いいよ……！
私は、こんな雨のなかでルカをひとりにする方が嫌……！」
「……しつこいな！！何度も……」
ついに声を荒げたルカ。
私は持っている傘を放りだし、両手で彼の手首を掴んだ。
「お願い！聞いて……！
私は、ルカにひとりで苦しんで欲しくない……！」
彼の言葉を遮り、声を大にする。
ルカはそれに怯んだのかほんの少し後ずさった。
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たまごさん(プロフ) - れみこさん» えっご存知でらした…?嬉しいです…。ビクターくんのほうもご覧になってくださっていて本当にありがとうございます…。れみこさんのビクターくんも見てきました、世界観がとても好きです。素晴らしい作品をありがとうございます。 (2020年7月21日 17時) (
レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
れみこ(プロフ) - たまごさんさん» たまごさんだ！！ありがとうございます！！私、たまごさんの書くルカ君好きです！可愛い！あとビクター君の遺書の作品は泣きました……。ありがとうございます！更新出来るときはガンガンしていきます！ (2020年7月19日 23時) (レス) id: f32edadf87 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - このルカくんも良きですね…。私もアラサー設定好きですよ。これからビクターくんのほうも見てこようと思います、応援してます。 (2020年7月19日 15時) (レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
れみこ(プロフ) - 沙羅さん» コメントありがとうございます！！うおおそう言っていただけると嬉しいです…！！更新頑張っていきますね！！ (2020年7月19日 12時) (レス) id: f32edadf87 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ルカくんのお話増やしてくださってありがとうございます…！お兄ちゃんなルカくん、大人な格好いいルカくん…！好き過ぎてニヤニヤとトキメキが止まりません…(( 更新、楽しみにしております…！ (2020年7月19日 0時) (レス) id: 3aa856ffa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れみこ | 作成日時：2020年5月28日 3時
