一羽の飛べない雛烏

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夏休み合宿、一日目。


深夜0時に学校に集合し、前回と同じように早朝に到着予定。


『ねむ…』


くぁ、とあくびを噛み殺している俺と反対に、ワイワイと騒ぐ日向くん。


『あー…そういえばいなかったんだっけ…』

「お前ら前回遅刻だったもんな…」



今思えばよく田中のお姉さん東京まで連れてきてくれたな…かっこよすぎるだろ。


「単細胞はいいよね…どこでも寝られてさ…」

月島くんが相変わらず嫌味たっぷりにつぶやく。

「なんだと！！」

それに噛みつく田中と日向くん。
え、田中もなの？そうだとは思うけど返事しちゃうんだ。


まあ、

『今回は月島くんに同感。騒ぎすぎて練習しながら寝んなよ』
「寝ないっすよ！！」




今回は滝ノ上電気の滝上さんが運転してくれるらしい。めっちゃありがたい。

挨拶をしてバスに乗り込む。隣は月島くん。ちょっと嫌な顔された気がするけど俺だって日向の隣には座りたくなかったからしょうがない。


『大丈夫だよ日向くんみたいには騒がないから』
「いやわかってますけど…田中さんじゃあるまいし」
「「おい！！」」






そして、早朝。


今回は東京ではなく埼玉の森然高校で合宿を行うらしい。



「なあなあ！スカイツリーどこ！？あっあれってもしかして東京タワー！？」

「えっスカイツリー…？ あれは普通の鉄塔…だね…」


朝からテンションマックスの日向くんに比べて、残りはみんな長時間の移動で疲れ気味。


「なんなの宮城には鉄塔ないの？ あの会話デジャブるんだけど」


ニヤニヤしながらトサカ先輩が聞いてくる。


「東京にある鉄塔は大体東京タワーに見えるんだよ地方人にはな！！」

グワッと澤村さんが言い返す。理由になってないぞ。

「おい暴言。あとここ埼玉な」

おっ、正論。さっすが菅さん。

なんて考えながら、俺も澤村さんに突っ込む。



『澤村さん、俺鉄塔と東京タワーの区別ぐらいつくんで一緒にしないでもらっていいですか？』
「お前は東京人だろ！！」
『なんですか東京人って、せめて東京都民にしてくださいよ』
「今そこ争うところか！？」


ノリノリの菅さんツッコミ。いや、東京人じゃないよ、東京都民ですよ。生まれも育ちも途中までは東京なんで。



「あれ？ お前東京育ちなの？」

『えっ』



急ににやにやしたトサカ先輩に話を振られる。やっべ目合わせちゃいけない人と合わせちまった


「おい、今絶対失礼なこと考えただろ」

『いや、そんなわけないじゃないですかトサカ先輩』

「すでに十分失礼だな！」

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