【歌い手】はじめまして私をよく知る皆さん

１２話 ページ13

sideうらたぬき



「はぁ……」




どうしよっかな


友達の大体は華乃優佳が好き


けど、俺はそうでもなかったりする

ただの女、歌い手達に囲まれて顔を赤くするだけの面白みのない女

ライブの事に口を出してくるのも好ましいとは思えない


優佳よりは詩姫の方が良かった


俺らにこ びを売ってこないから


でも、優佳を怪我させた。それを聞いた瞬間評価が落ちた

誰から見ても優佳が持ち前の可愛さで歌い手達にこ びを売り

少しずつ詩姫が孤立してたのはわかってた


だけど、怪我をさせるなんてありえない

それに頑なに自分がやった事を認めない所も


だから詩姫を嫌ってるあいつらと、詩姫の味方の96月達の中立ら辺にいる

「どうすればいいんだよ」


思い浮かべるのは高校の時に同じクラスだった女子

委員会が一緒で話すようになり



友人関係から勉強。いろんな事を相談した

いつも強気で前向きな彼女に、今でも答えを求めてしまう


高校以来会っていないから、勿論答えなんて返ってこない


聞こえるのは帰り道を歩く足音だけ



そういえば、今日一瞬だけ詩姫が彼女と重なった気がした


あの余裕の笑み



いつだったか彼女もそんな顔をしていた


詩姫がしそうもない顔




そこだけじゃないんだ

途中から性格がガラリと変わった詩姫は、ところどころ彼女とかぶる部分があった


詩姫は本当の性格を隠していたのだろうか


俺は、紅月詩姫という歌い手の本名すら知らない




もしかして、彼女と同じ人物かもしれない









そんな期待が頭をよぎった

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