【オリジナル】気紛れ投稿【ＳＳ集】 (ページ17)

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♀/冬/恋愛未満/絵の具ページ17

日本の絵の具は昔、岩から出来ていてとても高価だったんだよね。
今も残っているだろ？岩絵の具。
岩を砕いて出た粉末にニカワを混ぜて使っていたんだよ。
勿論、天然の岩石のは一番高いんだけど、綺麗なんだよねぇ。

でも西洋の絵の具は岩に限ってないんだ。
油絵ってのは聞いたことあるだろ？
顔料…色の素に油を混ぜて絵の具にしたんだ。
一般的には乾性油って言われるやつを。

「なんで今そんな話なんだよ」

「知ってるかーて聞いたからじゃん」

雪が積もり、狭くなった歩道を歩きながら喋る。

「つか、んな情報はどこから仕入れるんだよ」
むしろそっちが気になるわ。

「家に資料が大量にありましてな」

「お母さんが画家関係だっけ？」

「母は小説関係だよ」

「納得」

道の端に積もる雪を手に取り、雪玉を作る。
パウダー状だからか足元がギュッギュと鳴る。雪玉は作りやすいけども。

「にしても、進路なぁ」
「決めてねぇよなぁ」

受験生というわけでもないが、将来を見据えなければ不安ではあるんだよな…

「なんかさ、コレってもんが見つかんないんだよね」
「わかる。将来っつても決められるわけねぇわ」
「それな」

雪玉を積まれた雪へと投げながらも歩く。
漠然としたものを明確に答えろ、とはただの無茶振りだと思えて仕方ない。
決めなければならないのは分かっているんだけども。

「空、綺麗な青だな」

深い青。こんな青を確か
「瑠璃色の空だね」
「こんな青の状態を瑠璃色っつーのか」

ニッ、と笑いながら「賢くなった」と彼は言う。

冬は綺麗な青が空を彩る。
他の季節とは違った、青い空。

「写真家、なんてのもありだよな」
「そーだねー」

家まではまだ遠く、コイツと歩く雪の道がなんだかいつもより静かだった。

__________ラピスラズリの絵の具で空を