【オリジナル】気紛れ投稿【ＳＳ集】 (ページ1)

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♀/卒業式/男先輩ページ1

３月某日。

卒業式後の
すすり泣く声が方々から聞こえる中、
なんとか人ごみを抜け出し屋上へと足を進めた。

なんせ一つ上の先輩方の卒業式だ。
ほぼ先輩と繋がりのない私に関係はない。

屋上から生徒玄関を見下ろせば
先輩後輩が入り混じり、最後の別れを惜しんでいる。

「よう、後輩ちゃん」

ああ、そう言えばいたな。
この空気をもろともしない先輩が一人。

「先輩は良いんですか？最後ですけど」

振り返り、呆れ気味に言い放つ。
この先輩に敬意を示す気なんて更々ない。

「冷てーな」

「何を今更」

冗談でしょ？と言わんばかりに鼻で笑う。

無視を決め、再び玄関を見下ろす。
会話を諦めた先輩は私の隣を陣取り、一緒に見下ろした。

「学校ともお前とも今日で最後かー」

きっと先輩の本音であろう。
短い付き合いだが、それくらいなら分かる。

「Aー」

「はい」

「付き合おっか」

「お断りいたします」

この先輩は情緒というものを知らないのだろうか。

雰囲気とか、場所とか、
空気を読んだりはしないのだろうか。

「言うと思った」

くすり、と笑う気配がする。

「先輩、前言撤回です」

「んー？」

「一緒に墓に入ってくれるならいいですよ」

顔だけそちらに向ければ、
にやりと笑っている先輩いた。

＿＿『好き』の要らない関係。