72話 ページ24
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ピッシリと石像のように硬直したフェーヂャに、私は言葉を投げ掛け続ける。
「フェーヂャ、彼等は私の大事なお友達なんです。この世界に来てから沢山助けて頂きました。珍しい物も見せて頂きました。沢山遊んで頂きました。……なので、お願いです。…どうか、どうか彼等を殺さないでください」
濁った瞳が一瞬澄んだ気がする。
フェーヂャは私へ踵を返すと、優しく抱き締めてくれた。
「…貴女がぼくを兄さん、と呼ぶ日がまた来るとは思いませんでしたよ。最後に聞いたのは12年と6ヶ月17日前ですから」
「随分具体的に覚えているね!」
「ゴーゴリくん、彼女の脚を自由にしてください」
「分かったよドス君!」
ゴーゴリくんがマントの中の脚を戻したことにより、私の両脚には自由が返ってきた。
「フェーヂャ、彼等を殺さない?」
「ええ。可愛い妹の頼みならば幾らでも聞きますよ。生かしておきます」
嗚呼良かった。
小さく安堵の溜息を吐く。
フェーヂャは私を抱いたまま、3人に振り返った。
「すみません、勘違いしていました。てっきり、彼女を虐めているものかと」
「オレらがペンギンちゃんを虐める訳ねーじゃん」
「ええ、全くですよ」
「フロイドの言う通りです。僕達にはそんな理由などありませんから」
どうにか誤解は解けたようだ。
「ごめんね、少年達。ドス君、頭は良いのに昔っからAちゃんの事となると馬鹿になるんだ」
「馬鹿ではありません。周りが見えなくなる、と云ってください」
ゴーゴリくんの云う通り。
昔からフェーヂャは過保護の域を通り越して、盲愛の域に達している。…思い上がりでなければ、の話だけど。
「フェーヂャ、少し聞きたいことがあったのですが…宜しいですか?」
「ぼくが知っていることなら何でも話しますよ」
「
フェーヂャはあるがままに語ってくれた。
元の世界では何時か捕らえられてしまうから
本当は平行世界に逃がそうとしたが、異能者が誤ってしまったこと。
18歳の身体に戻ったのは、恐らく異世界から無理矢理来たことによる歪みから発生したこと。
「あと……フェーヂャは今、ムルソーに収監されているんですよね?」
「はい。何故それを?ぼくはムルソーに捕まったとは言ってない筈ですが」
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アババババ - 80話の最後のフロイド君の発言で草生えました! (2022年11月19日 23時) (レス) @page32 id: 222bdc0355 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» 承認しました!こちらこそよろしくお願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - あ〜ちゃんさん.......私も好物なので有り難いです......!ぜひ御願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: fc34ad99ff (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - あ〜ちゃんさん» 柘榴です!よろしくお願いします! (2020年7月23日 18時) (レス) id: f20993b4a3 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» OKです!ありがとうございます!! (2020年7月23日 13時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月29日 0時