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side 照
ほんとなんで呼ばれたんだろう。
遊ぶ雰囲気のLINEでもなかった。
阿部はそのLINEを見て
｢…動く気だな。｣
って呟いた。
動く？どういうこと？
俺の顔はそう物語っていたんだろう。
阿部はふっと笑うと
｢照、俺のこともふっかのことも味方でいてね。｣
訳の分からないこと言うんだよ。
そしてしばらくしたら、
｢あー悪いね突然。｣
頭を掻きながらふっかが現れた。
｢ねー！急に何ー？俺何かした？！｣
佐久間が空気を変えようとでもするように
大きい声で明るく言う。
それでも空気は変わらない。
だって、ふっかがずっと
真剣な顔してるから。
｢俺…彩のこと好きだから。｣
は？
え、なんで急に？
てか待って。
阿部もふっかも
彩ちゃんが好きってこと？
だからさっき阿部はあんなこと言ったの？
俺は思わず阿部の顔を見た。
表情も変えず、じっとふっかを見てる。
そんな阿部を、ふっかも見てて。
……気づいてたってこと？
2人とも、お互いに同じ人を好きだったって？
俺の大事な人達が
大事な先輩を取り合うとか
俺どうしたらいいの？
泣きそうな顔になってたんだと思う。
がしっと俺の頭を掴まれた。
｢照がそんな顔することないよ。大丈夫。｣
滅多に聞かない佐久間の優しい声。
バカ、泣いたらどうしてくれんだよ。
そんなキャラじゃねえだろ。
いや、そんなこともない。
佐久間は、
いつも周りの空気を読む男だから。
｢ふっか。俺も本気だから。｣
｢知ってる。でも、負ける気ないから。｣
2人がそんなことを言ってても
笑顔なのは分かる。
声で分かる。
ずっと一緒にいるんだから。
｢……俺も負けないから。｣
そう一言聞こえた。
え、
翔太……？
そう言うと、そのまま店から出てった。
｢ごめんね、俺も帰る。翔太追いかけないと。｣
｢館さん、ごめん。いつもそんな役目任せて。｣
｢俺以外に出来るやついないからいいんだよ。じゃあまたね。｣
あっ、て短く声を出してから
館さんが振り返って言うんだ。
「誰が彩と付き合ってもおめでとうって言えるけど、誰が泣かせても許さないからね。」
穏やかな顔なのに、語気は強く冷静に。
そしていつもの爽やかな笑顔で
店の扉を開けて出て行った。
……俺にしかできない役目。
それは何があっても
ふっかと阿部の味方でいること。
ごめん、それしかできないけど
でもそれなら誰にも負けない。
2人とも頑張って。
頼りない応援団だけど許してね。
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作者名：SNOWSNOW
| 作成日時：2019年9月12日 0時
