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朝、目が覚めると、
ずっと同じ体勢だった。

きつく抱きしめて離さない翔太。

でも、今日は朝から講義だしな…。

『翔太、おはよ。』

寝起きの悪い翔太だけど
とりあえず今は離して貰わないと…。

何回か揺さぶると
ゆっくり目を開ける。

「……朝?」
『うん、朝。学校行く準備したいから離して?』

私が言うと、息苦しくなるほど
きつく抱きしめてくる。

『ぐぇっ…翔太…強いよ。』
「……ちょっとだけ。」

まだ甘えん坊が残ってるようだ。

やっと離れた翔太は、私の身体を見て
「もっとつけてやれば良かった。」
なんてボソッと呟く。

いや、これ以上は困る!

『学校は?』
「ある。」
『じゃあ起きて。』
「朝飯あるなら起きる。」
『うん、作るから一緒に食べて行こう。』

重たい目を擦りながら
身体を起き上がらせる。

「オムライスがいい。」
『前も作ったから却下。』

チッって舌打ちが聞こえた気がするけど
あえてスルー。

『先にシャワー浴びてきていいよ。』

私はルームウェアのワンピースを
かぶって、キッチンへ向かった。


翔太がシャワーを浴びてる間、
適当に朝食を作る。

出来上がる頃に翔太は
タオルで頭を拭きながら現れた。

「The朝食だな。」
『日本の朝ごはんにしてみました。』

味噌汁と卵焼き、のみ。
しょうがない、納豆も出してあげよう。

「なんだかんだ最強の組み合わせ。」

そう言いながら味噌汁に口をつける。
熱そうにしながらも、「うまっ」と
小さく言う翔太はなんとなく幼い。

一緒に食べ始め
なんとなくゆったりとした時間になる。


『ねえ。』
「ん?」
『昨日は…』

言いかけて、なんて言おうか考える。

昨日はどうしたの

って聞いていいのかな。

「昨日はどうしてもしたかったから。」
『え?』
「彩とめちゃくちゃしたかったの。」

その言葉に顔が熱くなる。

『それはよかったです……?』
「ふはっ、疑問形。」


「昨日ゆっくり話聞けなくてごめんな。」
『ううん、昨日はほんと穏やかな食事会だったから。大丈夫。』
「就職のことは話せたの?」
『……いや。』
「早めの方がいいぞ。」


最近、塩対応より
優しい対応が増えてる気がする。

嬉しいけど、むず痒いというか。

ご飯を食べ終えると、食器の片付けを
してくれて、そのまま帰り支度を始める翔太。


「また連絡する。」

私の頭を軽く撫でて部屋を出ていった。

ねえ翔太。

昨日の「好き」は、どういう意味なの?

1番聞きたかったことが、聞けなかった。

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作者名:SNOWSNOW | 作成日時:2019年9月12日 0時

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