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三十話 やはりこいつは好かん… ページ31

しかし──…


実を言うと、Aは頭を撫でられるのが
嫌いというわけではない。

────むしろ好きと言えよう。


温かくて大きな手のひら──…

照れ気味に見上げれば
涼しい顔で微笑んでくれる優しい表情──…


“A…”


自分を唯一甘やかしてくれる
低く響く大好きな声──…


総司「…──ねえ…?ちょっと聞いてる?」


A「な、何?!」


ふてくされた顔が目と鼻の先に現れ
びくっと肩を飛び上がらせる。

まるで目の前に何かが落ちてきて
威嚇する猫のように。


どうやら、物思いに耽っていたら
何度も総司に話しかけられていたらしい。


A (っ…またあの男のことを考えて…
 人の温かみに触れるといつもこれだ)


最近は、昔あった温かい思い出ばかりが
妙に脳裏に浮かんで思考を支配するので、
彼女自身がその事実に困惑している。

はるか昔にすべて捨てたはずなのに──…


総司「きみの男嫌いって何か原因でもあるの?
 昔、男のせいでひどい目に遭った…とか」


A「!!な…んで、そう思うんだ……?」


思わず声が動揺で震えた。


総司「よく思うけど、目の前にいるのにさぁ…
 僕らといるときのAくんって
 どこか遠くにいる気がするんだよねー…。
 “心ここに非ず”ってやつかな?」


まあ、千鶴ちゃんの前だと
ただの過保護だけどね…とも付け足した。

図星を突かれてしばしAは言葉を失う。


A「……お前はよく人を見ているな…。
 もし仮にそうだとしたら、
 お前はそれを知りたいのか?」


総司「知りたくなんてない
 ………って言ったら嘘になるね」


つまりは“知りたい”ということだ。

幹部の中でも特に新選組を大切に思う彼が
その危険要素になり得る者に興味を持ち、
ましてや近付きたいと思うのは珍しい。


A「そうか…」


口元をゆるめて総司の目をじっと見つめた。

それに対して彼は、
Aが自分に話してくれるのかと思い
張り付いた笑顔のまま少し真剣な表情になる。



**********


続く

三十一話 話すのは構わないが…→←二十九話 またお前か…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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