二話 油断した時に… ページ3
普段ならこの一瞬で
敵を始末するところだが…
あいにく、今そうすると
返り血がこの少女にも飛んでしまう。
───ゆえに、Aはそうしなかった。
男が刀を拾いに行った隙に
背後にいる怯えた少女に目を向ける。
──ぎゅ…っ
「え…っ」
そして、なだめるように
その身体を優しく抱きしめた。
ふと…彼女の纏う雰囲気に幼い頃
同じように誰かの涙を止めていたような
妙な懐かしさを感じる。
A「大丈夫……怖くないから
少しだけ目を閉じていて」
「は、はい…っ」
少女の頭をそっと撫で、背に隠し
Aは男達の前に立ちはだかる。
A「女の子にこれ以上
怖い思いをさせるわけにはいかぬゆえ
お前には一瞬で死んでもらう…」
悪影響だ…と呟きながら刀を構えた。
「ヒッヒッヒ…!血をよこせぇぇぇ!!!」
……────勝負は本当に一瞬だった。
シュッ─
……──グサァ!
…─ザンッ!!
Aは男の単調な攻撃をいとも簡単によけ
すれ違いざまに心臓を一突きにし、
その勢いのままもう一人の男の首をはねた。
A (狂気は凄かったが
剣の実力はそうでもなかったな…)
刀についた血を払って、静かに鞘に納める。
目の前の敵を倒したという達成感──…
それは、一瞬の気の緩みを生んだ。
「あ〜あ、残念だなー。
僕一人で始末しちゃうつもりだったのに
きみがやっちゃったの?」
「総司…俺達は務めを果たすべく
動くまでだ。いらん闘争心を持つな」
二人の男が近くの民家の陰から出てきた。
それは──…
軽い口調の茶髪に翡翠色の瞳の男と
物静かな白い襟巻をした藍色の髪の男だ。
総司「はいはい…一くんは真面目だよねー。
……ところでさ、もう一回聞くけど
きみがこれをやったの?」
A「……だとしたら?」
男達が着ている羽織が先程の男達と
同じものだと確認して、
警戒心から刀の柄を握ってAは答えた。
…────いつでも斬れるように。
総司「死んでもらう…なんてね」
総司と呼ばれた男はにこやかに笑うも、
彼らを取り巻く雰囲気はなんとも険悪だ。
その緊張状態に堪えかねたAが
再び刀を抜こうとすると──…
A「っ…!?」
今度は背後から気配を感じて慌てて振り向く。
そこでは──…
「いいか…逃げるなよ。背を向ければ斬る」
二人とは別の、長い黒髪の男が
Aが守った少女に刀を向けていた。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
1200人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時