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十五話 毎日、縁側に… ページ16

―――――……

―――…


A「おはよう、千鶴」


千鶴「おはようございますAさん…!」


彼女達が新選組に来て数日が経過した。

Aは相変わらず道場で隊士達を指導し、
千鶴は特に何もしなくていいと言われ
部屋にこもりきりの生活が続いている。

最近では彼女らが顔を合わせるのも少なく
今日のようにAが廊下を通るときに
千鶴が障子を開けて少し会話するだけだ。


A「父君が見つからなくて不安なのに
 俺は何もできなくてごめん…」


隊士になったといっても、
Aの場合は屯所内のみを自由に行き来して
道場で隊士達の指導をするだけなので、
巡察などで外に出ることは許されていない。

立場から言えば、千鶴とそう大差ないのだ。


千鶴「Aさんは悪くありません!!
 あ、あの…もしかして毎日縁側に
 雪うさぎを置いてるのはAさんですか?」


A「ふふ…もう気付いたのか。
 一日中部屋にいるのも退屈だろうし、
 せめて…窓の向こうの景色は
 殺風景なものより華やかな方が良いだろ?
 (昔……千鶴は喜んでくれたんだよな…)」


縁側に置いてある昨日作った雪うさぎを
千鶴の手に乗せてAは笑みをこぼした。


千鶴「…可愛いですね」


A「あっそろそろ道場に行かなくては…
 何かあったらすぐ声をかけてくれ!」


そう言ってAは走り去った。

朝起きて、障子を開けるたびに自分を待つ
この可愛らしい存在を見て
どれだけ不安や孤独が和らいだのだろう…


千鶴「Aさん……っ」


雪うさぎを愛おしそうに見つめながら
しばらくAの優しさの余韻に浸った。


千鶴 (この気持ちはなんでしょう……
 あの晩に助けられたとき抱きしめられて
 感じた胸を焦がすようなあの懐かしさは…。
 ……この雪うさぎも…初めて見た気がしない)


Aとのわずかな触れ合いが
薄くもやのかかった幼い時の記憶をつつく。



**********


続く

十六話 あの女の子…→←十四話 稽古のあとに…


ラッキー人物

藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆


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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時

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