十四話 稽古のあとに… ページ15
そして日が暮れて──…
A「よし…今日の稽古はここまでだ。
不慣れなもので至らぬ指導ですまなかった。
各自、充分に体を休めてくれ」
気付けば、道場にいる全ての隊士達に
丁寧に稽古をつけたAは
手拭いで汗をぬぐいながらそう言った。
「「「はい、ありがとうございましたっ!」」」
これで今日はもう解放される…
と、思っていたが──…
「早乙女さんは出身はどちらなんです?」
A「生まれは東、育ちは西のほうだ。
あと、“早乙女さん”は固いから
気軽にAと呼んでくれて構わない」
「は、はいっ!
ではAさんとお呼びします…っ」
「Aさんの身のこなしに感服しました!
今度、剣術だけでなく
体術なども教えていただきたいのですが……」
「お、俺もです…!」
「では自分もっ」
それからも、その志願者は後を絶たず
Aはただ勢いに圧倒されて目を瞬かせる。
しかし、彼らが自分を頼ってくれることに
嬉しさが込み上げて
彼女はすぐに隊士達に心を開いた。
たしかに男は嫌いだが、
誠意には誠意で返すのがAなりの
礼儀であり武士道なのだ。
A「あ…ありがとう。
俺でよければ、いつでも教えるよ…」
──ふわっ…
風にあそばれて首の手拭いが
Aの和らいだ表情に呼応するように
緩やかにはためく。
夕陽に照らされたこのときのAの微笑は
全ての不浄をかき消すように
飾り気がなく、なんとも清らかであった。
「「「───…っ!!
(男とは思えぬほどに美しく…まるで
羽衣をまとった天女のようだ…っ!)」」」
先程までの勇ましい様子とは打って代わり
風に浚われてしまいそうに
儚げなAに彼らは心揺さぶられた。
首にかけている手拭いを天の羽衣と
見間違えた者は少なくないだろう。
一方───…
そんな熱い視線に気付くことなく
不安や戸惑いは残るものの
彼らとは上手くやっていけそう…と、
Aは密かに感じた。
その後も隊士達から様々な質問が飛び交い、
解放されて部屋に帰るのは
それからしばらくしてのことになる。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時