検索窓
今日:8 hit、昨日:29 hit、合計:105,945 hit

二百二話 今度は嫁とともに ページ8

暗い顔の弟を励ますように
その背を軽く叩いて笑う。


(俺には理解もできぬことを考え
 行動してるのだろうが
 もっとそばで守らせてくれまいか…)


Aから求められたのなら
杏寿郎は心から喜んで助力を惜しまない。

けれども彼女は最終目標を叶えるべく
炭治郎と仲間の成長のためにも
なるべく原作通りの流れにしようとしている。

ゆえに、杏寿郎や他の柱を頼ることはないのだ。


そこへ、


「新婚だってのに地味な顔してんじゃねぇか」


急にかけられた声に兄弟揃って顔を向ける。

見ると、音柱の宇髄天元が腕を組んで
煉獄家の門に寄りかかっていた。


「久しいな宇髄。息災でなによりだ!」


前回の柱合会議以来に見る同志の顔に
杏寿郎は屈託ない笑みを浮かべ
隣の千寿郎もあわあわと頭を下げる。

もしAがここにいたのならば
まだ新婚ではないと赤面して主張しただろう。


「出掛けるとこわりぃな。
 お前んとこのチビ…馬鹿嫁いるか?」


「Aは華奢で小柄で愛らしいが
 茶目っ気のある天真爛漫な性格なだけだ。
 残念だが今は遠出している」


無自覚に惚気ながら
けして馬鹿ではないとAを擁護する。

それに天元は軽く胸焼けしそうだ。


「あっそォ……そいつはご馳走さん」


「ご馳走?俺は君に何も奢ってないが」


「そういう意味じゃねーよ!!」


天然の返しを煩わしげに叩き落とした。

鬼の調査のため吉原へ潜入した
自身の妻三人と連絡が途絶え
今の彼に笑い話に付き合う余裕はない。


(黙ってりゃ器量良しだし意外と度胸もある
 あのチビが適任と思ったんだが……)


妻たちの救出のため再び吉原へ潜るべく
Aに協力を仰ごうとしたが
その不在を知り、天元は宛が外れた。

ならば今度は、女隊員が多く集まる印象の
蝶屋敷へ向かおうと密かに思う。


「引き留めて悪かったな。俺はもう行くわ」


「何やら深い事情があると見える。
 役に立てず申し訳ない!」


悟られぬ自信のあった焦りを見抜かれ
背を向けた彼は驚きのあまり
思わず立ち去る寸前だった足を止めた。

振り向きながらその口元が自然と緩む。


「……落ち着いたら嫁たちを交えて話そうぜ。
 先輩として夫婦円満の秘訣を教えてやるよ」


「それは楽しみだ!」


二人して楽しげに笑い合う。

そんな彼らの脳裏はやはり
愛しい女人のことでいっぱいだった。



**********


続く

二百三話 吉原遊郭では…→←二百一話 消えた我が家の嫁


煉獄さんコレクション

煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり!黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (324 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1374人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 鬼化
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます!続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです!堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...(泣)来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます! (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです!近日中にまた更新します_〆(゚▽゚*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します!面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます!ゆっくりでいいので更新がんばってください! (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ポッ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2023年2月1日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。