二百二十話 いつからか絆され ページ26
―――――……
―――…
───ドガァッ！！！
強烈な裏拳が左頬を捉えて
廊下を挟んだ向かいの部屋の奥まで
善逸が吹っ飛ばされる。
「気安く触るんじゃないよ。
のぼせ腐りやがって、このガキが」
襖の上で力無く横たわり気を失った。
突然のことに火を消したように静まり返り
不機嫌な堕姫の声だけがよく通る。
「躾が要るようだねお前は。きつい躾が」
怪我を負わされている禿を庇い
手を掴んだのが彼女の癪に障った。
───原作通りに。
「っ…お待ちください蕨姫様！」
そこへAが息を切らせて駆けつけた。
このひと悶着も回避したかったが
間に合わなかったため
せめて事態を収めようと立ちはだかる。
「痛い思いをしてあの子も反省したはず。
これ以上はどうかご勘弁を…！」
原作と違って京極屋の女将は生きている。
ゆえに、店全体が意気消沈としておらず
これ以上何も起きぬようにと
楼主が庇ってくれる保証もない。
なので原作より酷いことにならぬよう
身体を張って守ると決めていた。
「アタシに指図すんじゃないよ！！」
───ブン…ッ
堕姫が怒りのままに手を振り上げる。
とてつもない痛みを予感して
きつく目を瞑り、Aは身を強張らせた。
「っ…」
──ぺし…っ
だが、振り上げた手は途中で勢いを失くし
指先が頬に軽く当たるだけだった。
その感触に何が起きたかわからず
おそるおそる顔を上げると
整ったしかめっ面と視線がかち合う。
「蕨姫さ…ま？」
(……何よ、その顔)
臆面なく好きと伝えてくるのに
こういうときは殺されるかのように
目の前の少女はひどく怯える。
それだけの扱いをしている自覚はあった。
このまま殴り倒そうとも従順さは変わらず
むしろ大人しくなるやもしれない。
───しかし、それは望むものとは違う。
「……入って来たばかりの子に
つらく当たりすぎたね。
手当てしてやって頂戴」
顔に作り笑いを浮かべて
固唾を飲んで遠巻きに見守る者らへ言う。
その言葉にAは安堵した。
「すぐ部屋を片付けますね。
皆さんもお騒がせ致しました！」
怪我した禿を他の遊女に預けながら
堕姫が指示するよりも先に行動する。
「……遅くなってごめん。
あとで怪我を診せてね」
甘味の入った巾着を渡しながら
眉を下げて禿の耳元に小声でそっと告げる。
そうしてから息を深く吸って吐き出し
呼吸を整えて、固く襖を閉じた。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
煉獄さんコレクション
煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり！黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ
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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます！続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです！堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...（泣）来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます！ (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです！近日中にまた更新します_〆(ﾟ▽ﾟ*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します！面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます！ゆっくりでいいので更新がんばってください！ (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ﾎﾟｯ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2023年2月1日 16時
