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二百八話 私がいるうちは ページ14

すると、突然…


「もういっぺん言ってみな!!」


「何度だって言ってやるさ!
 アンタの稼ぎが良いのは顔のおかげだろ」


廓全体に響き渡る怒声に
さっきまで笑ってた禿ちゃんたちが
息を詰まらせて身を寄せ合う。

恐怖が身体に染み付いてるようだ。


「……ちょっと行ってくるね」


「Aさん…っ」


「大丈夫だよ。
 私がいるうちは絶対だいじょーぶっ」


引き留めたそうな顔をする禿ちゃんたちを
ぎゅっと抱き締めたいけど
私がここにいる意味を果たそう。



* * *



たどり着いた先では
蕨姫様の振る舞いに堪えかねた一人の遊女が
正面切って物申していた。

遠巻きに見守る人たちは
巻き込まれたくなくてただ傍観してる。


「いくら美人だからってなんでも
 思い通りになると思うんじゃないよ!」


「大したことない顔のくせに
 このアタシに意見するなんて何様だ。…あ゙?」


美しい顔を歪めて蕨姫様が睨みつけると
絶世の美女のそれは迫力が凄く
対峙する遊女はたちまち青ざめてたじろいだ。


「あ…あんたなんかその容姿がなきゃ……っ」


遊女の背後に回ってその口にコロン…と
飴を詰めて物理的に続きを遮った。

しん…と場が静まり返って私に注目が集まる。


「……蕨姫様の浮世離れした美しさに
 嫉妬しちゃう気持ちすごくわかりますよ」


空気を変えようとわざとらしくおどけてみた。

今、騒ぎを収拾しないと
この遊女さんは殺されてしまう。


「どうやったらこうなれるんだろって
 私も常々思ってます。同じですね」


「お前……」


「さあ、あっちで甘いものでも食べましょ」


「勝手なことすんじゃないよ!!」


────パァ…ンッ!!

遊女さんの背を押して退室しようとした
私の頬に蕨姫様の平手が打ち込まれた。

口の中を切って鉄の味が広がる。

頭ごともってかれる勢いで
常人なら三日は真っ赤に腫れるやつだ。


「…蕨姫様。簪が少し曲がってますよ」


困ったときは笑って誤魔化せ。

平手打ちについては流して
口角を上げ、そっと蕨姫様の髪に触れる。


「チッ……人払いしな。
 この部屋には誰も近付けるんじゃないよ」


「は、はい…」


────ぐいっ!!

ギリィ…と爪を食い込ませて私の腕を掴み上げ
周りを遠巻きに囲む人たちに蕨姫様が言う。


いててて…っ!

彼らは私に憐れみの目を向けるも
次なる怒りの矛先が自分へ行かぬよう
蜘蛛の子を散らすように退散した。



**********


続く

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煉獄さんコレクション

煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり!黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ


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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます!続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです!堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...(泣)来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます! (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです!近日中にまた更新します_〆(゚▽゚*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します!面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます!ゆっくりでいいので更新がんばってください! (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ポッ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2023年2月1日 16時

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