【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！肆【煉獄杏寿郎】

百六十四話　思春期少年確保！ ページ19

―――――……

―――…


やがて、私はみんなより先に蝶屋敷を出た。


理由は“無限列車運行再開”という
新聞の記事を目にしたからだ。

……これは、なんとしてもやり遂げねば！


その道中、

─────バンッ！！


名残惜しくも挨拶を済ませたが、
ある人物を見かけて突発的に木に追い詰めた。

いわゆる壁ドンである。


「えっ…と……」


初対面の女の子に突然道を塞がれ
その人物は直立不動で固まる。

ただ戸惑いの声を漏らすだけで
何の対処も浮かんでないようだ。

たぶん私も色々と間違えた。


「驚かせてごめんなさい。
　風柱様の弟…不死川玄弥くんだね？」


「あ、ああ…(これ…どんな状況？)」


ここは木陰で日が射してないので
日除けの頭巾を脱いでその顔を見上げる。


ようやく会えた炭ちゃん同期組
最後の一人…不死川玄弥。


不死川さんクリソツの強面で上背もあり
ガラの悪いチンピラのようだが
思春期突入で異性と喋れないピュア少年。

現在も赤面して目を合わせてくれん。


「私は夜叉野A。
　君と同い年で共喰い鬼やってます」


「そ…うなの……か」


木についた手を戻して距離を開けると
彼はあからさまに安堵した。

善ちゃんとは違ったいじりがいを感じる。


名ばかりの共喰い鬼と
特異体質で本当に鬼を食べる人間。

ちょっと親近感湧くなあ…


「単刀直入に言おう……
　私はお兄さんとの仲直りに協力します」


「な…っ！！？なんでそれを…」


その言葉を受けてようやくこちらを見た。

けど、このピュアボーイは
恥ずかしがってすぐに顔を背けた…可愛い。


「共喰い鬼の能力の一つ…かな」


「な、なるほど……」


不死川さんの良くないとこは
相手のことを心から思いやってるのに
その人の意思は置き去りなとこだ。

大切な人が幸せなら
自分は誤解されて悪者であろうと構わんと。


「大丈夫だよ、玄ちゃん！
　私が絶対お兄さんと仲直りさせるから」


「げ…玄ちゃん？！」


だから、この兄弟が対峙したら
私は不死川さんのツンギレ言葉を
正確に伝える翻訳機となろう。


俺には弟なんていねェ
→兄ちゃんに構わず幸せになれ

何の才覚もねぇから鬼殺隊辞めろォ
→さっさと嫁作って平凡に暮らせ

心底どうでもいいわ、失せろォ
→あの日のことは気にするな、達者でな


彼らが拗れることのないように…
絶対に幸せになるように…

─────私がバッチリ翻訳せねば！



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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