七十四話 感謝と萌えと頼み ページ27
そのまま言葉を続け──…
「私は今日…柱として責務を全うするために
ここへ来たが、それより先に
煉獄槇寿郎個人としてきちんと伝えたい」
真剣なその表情を見て、
Aもいつまでも真菰の影に隠れては
失礼と思い、ゆっくり彼に近付いた。
小さなその手を握り、槇寿郎が口を開く。
「瑠火を…妻の病を治してくれてありがとう…!
息子の風邪の治癒と見舞いもありがとう。
Aちゃんと出会えてよかった」
「そ…んな……私はただ…
自分に出来ることをしただけです…っ
(おじさまが手を握っ…ぴぎゃあああっ!!)」
傍目からは、慎ましやかな性格のため
謙遜してうつむいているように見える。
が、しかし───…
推し遺伝子の過剰摂取でAの頭の中は
お祭り騒ぎでオーバーヒート寸前で
かつてないほどパニックを起こしている。
その姿が人慣れしてない小動物と重なり
槇寿郎はさらに笑みを深めて
慈しむようにAの頭をそっと撫でた。
「こんな小さな子が一人でよく頑張った。
君は強くて優しい凄い子だ」
(…────我が生涯に一片の悔い無し…!!)
にやける口元を手で覆い隠し、
Aは萌えで発狂したくなる衝動を
ぷるぷると震えながら耐え忍んだ。
すると──…
「そして……鬼殺隊の柱として
君に協力して欲しいことがある」
和らげな表情から一転、
柱の代表として真剣な雰囲気となる槇寿郎に
Aも慌てて襟を正し、気を引き締める。
萌えてる場合ではないと。
「はい…!」
「君のその力でお館様を…
産屋敷輝哉様の治療をして欲しい…!」
その言葉にAは息を飲む。
漠然とした不安から
鬼殺隊と積極的に関わるのを避けたために
すっかり見落としていた。
(そうだ……今、宇髄さんが入隊したてなら
もうお館様の目元には病気の影響が……)
鬼殺隊の長であり、
少し離れた場所から皆を見守ってくれる
自ら囮になるのも厭わない優しい人──…
「私…」
最終対決の前に亡くなってしまうが、
Aはもちろん彼も彼の家族も
誰一人死なない未来を待ち望んでいる。
それは、逃げ続けては叶わないだろう。
「私……お館様の病を治したいです!!」
そう、声を大にして宣言した。
鬼の身で鬼殺隊本部に出向くのは
並の覚悟では臨めないが、
腹を決めたAはもう迷わない。
**********
続く
ラッキー人物
煉獄杏寿郎 一目見ればそれだけで運気もテンションも体温も動悸も血圧も爆上がり!!死なない程度に盛り上がろう!
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亜紀野ユキ(プロフ) - 広海さん» どうもです!! (2022年2月23日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです!続きが気になります。頑張ってください! (2022年2月21日 14時) (レス) @page44 id: 07ce481f94 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 茜さん» どうも!!!頑張ります(´ω`*) (2022年2月14日 20時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 楽しみに読んでいます!実に最高ですね(笑)体調崩さないよう応援してます✨ (2022年2月14日 19時) (レス) id: 1b144ebba8 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みこちさん» 嬉しいデス!!忍たま良いですね(*´∇`*)私は水練の舳丸さん推しです (2022年2月12日 9時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年11月26日 21時