44 現実 ページ43
もともと、先生を避けていたけれど、
また、先生を避ける。
「A、和が来てる」
『？』
6月に入ってすぐだった、
和くんが、家を尋ねに来た。
「潤くんは出て行って」
「んだよ」
「頼むから」
いつになく、真剣な和くんに、
不安を覚えた。
「どういうこと？これ」
『先生と、宿泊学習の時に買い物に行ったの。雨が降ってたから、傘が一つしかなくて』
あぁ、見破られる。
冷静に話しているつもりでも、
つなげる言葉は正直で、
全然理論的じゃない。
「これが最後の忠告、俺のお嫁さんになるんでしょ」
『分かんないよ？』
「何言ってんの、ほぼ確定だよ。Aは俺の。」
先生と、私が雨の中を歩くその写真が、
和くんの手の中でクシャクシャにされる。
「こいつのもんじゃない」
瞳の奥に、殺意が見えた。
『和くん？』
「俺には、こんな顔して笑わないのにね」
あぁ、全部見透かされてる。
「せんせーの人生狂わせたくなかったら、分かるでしょ？」
『分かってるよ』
叶わないからいいんじゃい、
和くんは、きっと、死ぬまでこのことを許さない。
自分のことを好きにならない婚約者が、
同級生を好きになるなんて。
私の人生は、私のものじゃないもの。
心だってきっと、
自分のものではない。
それからすぐだった、
和くんが正式な婚約者になったのは。
案の定、いとこの健ちゃんは号泣して、
お父様に抱き着いて、泣いて泣いて、
Aちゃんのペットにして！って騒いで、
和くんのことも好きだからそうしよう、お花生けられるよ！芸があるでしょ、って笑って。
和くんが、そんな彼を殺すように、
「本気で言ってんの？」
「本気！」
一族のいる前で、
和くんに唇を奪われた。
心が苦しいのは、和くんを好きだからってことにしておこうか。
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あきんこ(プロフ) - ゆかりさん» 先生照れちゃいますよ(笑)いつも見ていただいて嬉しい限りです。 (2018年9月12日 17時) (
レス) id: 11450d0470 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 櫻井先生大好きです (2018年9月12日 10時) (レス) id: 8447f08366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきんこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=akinko0125
作成日時：2018年9月5日 19時
