【男主】余 所 見 す ん な 。【栗花落カナヲ】

３余所見 ページ5

「ただいま」

戸を明け、中に入ってくるカナヲ。

結局、帰って来たのは暁のころだった。

「おかえり。あれ、師範は？」

「柱の緊急集合がかかったみたいで、そっちに行った。」

「そっか」

何より、カナヲが怪我せずに帰ってきてくれたのが嬉しい。

もう一眠りしたら大忙しだろうなぁ。

そんな事を考えながら、布団に入り、目をつむった。

――
―


「幸さん、こっちです！」

「おけ」

俺の予想通り、怪我人が胡蝶邸に運ばれる。

しかし、今回は、怪我人というより、死者が多かったらしく、前例よりかは少なかった。

(ちゃんと成仏できますように)

死んでしまった人達に向けて、一つ手を合わせる。

っと、今はこっちに専念しないと。

俺は、意外と不器用。

そのせいで、師範に「包帯の巻き方がなってない」と怒られた。

その日から、俺は力仕事だけをやるようになった。

ゆうて男だし。

いざとなったら、皆を守るのも俺。

ま、師範やカナヲは守られるほど弱くないか。

アオイさんも、任務に行ってないだけで最終選別突破してるし、ね。

しばらくして、大分楽になってたので、俺は用済みだからと追い出された。

どっか行こうかな、そう思っていると、庭にカナヲの姿が。

「おーい、カナヲ」

手をブンブン振ると、カナヲも小さく手を振ってくれた。

どうやら、蝶と戯れていたらしい。

「カナヲって、蝶好きだね」

「可愛いから」

確かに、師範の継子は、全員蝶の髪飾りつけてるしな。

愛着あんのかな？

それから少し話をしていると、隠しの人達が来た。

「あの、入らせて貰っても良いでしょうか．．？」

「あ、どう」

どうぞ、そう言おうとしたら、一人の男の子が目に入った。

「そっちの子は？」

「怪我人です。」

「いや、そうじゃなくて。名前。」

「名前..確か、竈門炭治郎だったような.. 」

「そっか、ありがとう。」

何だろう、不思議と気になったのだ。

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