23余所見 ページ29
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「カナヲ寝てるし、俺行きますね」
「え?何言ってるんですか?」
「え?いやいや、師範こそ何言ってるんですか」
「別に、部屋入って待ってれば良いじゃないですか」
─────は?
いやいやいやいや!そんな事したら俺何しでかすか分かんない....。
あんな事やこんな事...。
「いっそのこと理性ぶちっとキレた方がハッキリして良いと思うんですけどねぇ。まぁ、幸にはそんな度胸ありませんか」
「師範、俺そろそろ泣いても良いと思うんですけど」
ぐだぐだ何かと理由を付ける俺に、師範はため息をついてから、俺を蹴飛ばした。
「とっとと入ってください」
「yesIDo....」(訳:はい、そうします...)
とは言ったものの、閉め出されて密室に二人きり...。意識しない訳がないだろう。
しかも、カナヲは寝てる....。あれ、俺大丈夫かな。理性保てる自信があんまない。
「......幸...」
「わあああああっ!!!!」
寝てるはずのカナヲに突然名前を呼ばれてパニクる。
あ、うるさくて起こしちゃったかも...。
恐る恐る確認すると、スゥスゥ気持ち良さそうに眠っていた。
ホッ....。
でも、よく見ると、少し寒そうに自分の手で腕を擦ったりしている。俺は、自分の羽織を脱ぐと、カナヲにそっと掛けてやった。
これで少しは温かくなるかな?
カナヲと向かい合うような位置に腰を下ろし、机に肘を乗せて頬杖をした。すると、一番に目に入ったのは、カナヲの髪の毛。見た感じ、凄くサラサラ。いかにも『女の子』という感じだった。
心の中でカナヲに謝りながら髪の毛に手を伸ばし、優しく触れた。
「すっげぇサラサラ...」
胸の鼓動が速くなるのが充分に分かった。
─────俺って、カナヲの事、こんなに好きなんだ。
何度も諦めようとしたけど、やっぱりこの気持ちを諦めろなんて難しい話だ。
改めてそう思うと、何だか照れくさかった。
けど、それと同時に、少し胸が痛くなった。
だって、何年間も片思いしてきたのに、カナヲは炭治郎のこと好きなんだ。
「俺だけ見てろよ」
その言葉は、虚しく響くだけだった。
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天の川(プロフ) - 5回目以上の読み返し。はぁ…最高すぎるわ…てか主さん主さん!カナヲは僕の嫁ですよ!!(真剣)(笑) (2022年2月28日 13時) (レス) id: 2d6957fece (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - うわあカナヲちゃん好きなので最高です!! (2020年8月14日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!!幸くんの最後の台詞にやられました!幸くん、男前やん。もうものすごいにやにやしてましたw気持ち悪いぐらいにwお疲れ様です! (2020年5月28日 12時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃんこ - お疲れ様です!別垢見つけたら絶対に作品見ます!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: cf6601d86b (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - 宙さん» 暖かいコメント、ありがとうございます‥‥。叩かれる覚悟で言ったのに、そんな優しい言葉をかけてくださり、本当にありがとうございます‥‥!涙出ます‥‥! (2020年4月27日 22時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かたつむり。(?) | 作成日時:2019年12月22日 8時