【男主】余 所 見 す ん な 。【栗花落カナヲ】

２１余所見 ページ24

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炭治郎side

こんなに上手くすれ違うことなんてあるんだな。カナヲと幸を見てるとそう思う。

お互いに遠回しだけど想いをぶつけ合っているのにも関わらず、二人の糸が繋がることはない。

見てて少しムズムズするのが本音。

普段から鈍いと言われている俺でさえ気付いているのに、肝心な二人は自分達が両思いだということに気付いていない。

「カナヲも幸のこと好きだよ」

「幸もカナヲのこと好きだよ」

何回も言おうとしてしまった。

けど、それは本人達の口から聞いた方が良いと思っているから、絶対に言えない。


──

幸と稽古をし終わって、二人で色々話している時だった。

「幸くん！」

そう言ってこちらに走ってきたのは、顔や、声、華奢な体つき、動作、全てが女性のお手本と言っても過言ではないほど可愛らしい同年代くらいの女の子だった。

幸に用があるみたいだが、きちんと俺にもペコリと挨拶をしてくれたのを見て、悪い子じゃないということが分かった。

「あれ？どうしたの？」

「怪我して胡蝶邸に寄ったから、要るかなぁって思って。でも、怪我するなんて、ほんと鬼殺隊失格だよね...ははは..」

彼女の言うとおり、頬には包帯があった。

すると、幸は彼女の頬にそっと触れた。

「女の子なんだから、顔に怪我したらダメじゃん。気をつけなよ。せっかく可愛い顔なんだから、ね？」

「だからといって、手足を怪我していい訳ではないから！」と幸は付け足すが、きっと、彼女の耳には入っていないだろう。

だって、顔が真っ赤。

しかも、彼女からは、好意の匂いがした。

一方幸は、平然とした表情で続けていた。

天然だなぁ。

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