44話 薬 ページ5
L「ものすごい量ですね。ひょっとして、毎日飲んでいるんですか?」
「いや、前まではヒートが来る前に飲んでたよ。
でも、アンタに会う度にフェロモンが出てきちゃって、外も歩けないから毎日飲まないといけないんだよ」
自分と関わってくるLに対して、嫌味ったらしくAは言い放つ。
でも、Aの言っている事は本当のことだ。
Ωは約3ヶ月に一度、ヒート期がくる。
Aだってそうだったが、Lと出会う度に、Lがいる大学に行く度に、フェロモンが出てきて体が言うことを聞かなくなってしまった。
もしΩだとバレたら大変だ。間違いなく襲われる。
そうならない為にも、Aは毎日、薬を飲まなければいけないのだ。
「アンタが居なければ、私は毎日薬を飲まなくてもいいのに」
L「…」
「薬って毎日飲んでたら、体に悪いよね。長生き出来ないかもなぁ私」
なんて、AはLを挑発してみせた。
さぁどうする。謝るか?言い訳でもするか?
こいつが私に土下座する姿を、一度でも拝みたいものだ。
L「薬を飲まなくてもいい方法がありますよ」
「えっ」
予想外の言葉に、Aは思わず足を止める。
自分で考える限り、そんな方法は思い付かないのだが…もし方法があるのなら、ぜひ聞いてみたいものだ。
L「簡単なことです。
私と番になればいいんですよ」
「……は??」
その言葉に、全身が歓喜で震えるのが分かった。
運命の番だからだろうか。Aの意思とは反し、体が一秒でも早く、この男と番になる事を望んでいる。
(なんてッ…憎たらしい体なんだろうか…!)
L「私と番になれば、薬を飲まなくても私以外の…他のαにフェロモンが漏れることもないですよ」
そう言葉を続けようとして、Lの動きが止まる。
微かに香るΩのフェロモンが、鼻を掠った。
「ぐっ、ぅ…」
L「…Aさん?」
「本当に、Ωというものは…ッ」
先程のLの発言に、Aの体が反応してフェロモンが溢れ出す。
その場で崩れるAの体を、Lは咄嗟に支えた。
L「Aさん、大丈夫ですか?」
「く、く、薬ッ…くすり…ッ!」
このままだと、この男は、フェロモンにヤラれて自分を襲うだろう。
Aが必死に、机の引き出しにあるフェロモン抑制剤へと手を伸ばせば、その震える手を、Lは掴んだ。
こんな時になんの冗談だと、AはLを睨む。
L「すっごく興奮しちゃいます、その姿」
己に縋るAを見て、Lは微笑んだ。
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みう(プロフ) - 展示会で再熱してあっきーさんの小説に辿り着きました!すごく面白くて一気読みしてしまいました!更新停止めちゃくちゃ悲しいです…。更新待ってます〜!!! (4月12日 22時) (レス) id: b8e8982ec1 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - コメント失礼します。とても面白いですね!ちょうどいい所で更新停止だったので、ちょっと悲しかったです!是非また更新してください😊🙌 (1月17日 7時) (レス) @page5 id: eab06e0c82 (このIDを非表示/違反報告)
神庭凛(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!!こんな素晴らしい作品を綴って下さりありがとうございます!デスノート夢で一番好きです!!キラが月じゃないっていうのが新すぎて衝撃でした…!!貴方様が筆を折らないのならもう永遠に更新停止で良いですそれぐらい満足しちゃいました…! (2023年4月16日 2時) (レス) @page5 id: b50ad34c18 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - 更新今でも待ってます (2022年12月22日 23時) (レス) id: 1a4b6b5d80 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めちゃめちゃ好きです!続きまってます! (2021年7月19日 16時) (レス) id: 4e04052b96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月6日 21時