37話 拒絶 ページ39
面会時間が終わり、Aと月とLは、父の病室から出た。
すっかり薄暗くなった外を眺めながら、Aは病院の廊下を静かに歩いていく。
L「Aさん」
ほらきた。話しかけてくると思ったよ。
己を呼ぶ声にAは足を止め、素直にLの方へと振り返った。
「あはは、さっきの発言で、私の疑いは濃くなった？」
L「まさか。Aさんのように、キラを支持する方は多いですから」
とは言ったものの、LはAにかなりの目星をつけていた。
Aの今までの行動は、Lが疑っている者たちの中で、最もキラの人格に近いものだからだった。
月「ねぇ、Aも捜査に協力してくれるよね？僕らの疑いを一刻も早く、」
「私は捜査に協力しない。毎日Lの顔を見るのは、ごめんだしね」
L「…それは、これ以上自分がキラだと疑われないようにする為の、逃げですか？」
核心を突くLの発言に、Aは驚いた。
面食らった表情のまま、言葉を絞り出す。
「…私が、キラだと？」
L「…」
月「…流河、頼むからAを疑うのはやめてくれよ…」
疲れた様子の月がLから離れると、Aに歩み寄る。眉をしかめたAに、月は真剣な顔付きだ。
月「なぁA、頼む。捜査に加わってくれ。
そうすれば、Aの疑いもきっと晴れるから…」
「別にいいよ。ずっーと疑ってたらいいんじゃない？」
月「え」
月の手を払い、Aはズカズカと前を歩き出した。
後ろからでも分かるAの圧に、月もLも、後を追いかけてくる事はなかった。
◆◆◆◆
リュ「なぁ、あんな帰り方して良かったのか？」
「うるさいなぁ私の勝手でしょ！？リュークには関係ない！」
リュ「そんなに怒んなくても…」
リュークに八つ当たりしながら、Aは病院帰りの夜道を一人歩く。
女っていうのはどうしてこんなにも、怒りんぼうでワガママなんだろうか、と死神は夜空を見上げた。
リュ(…ま、嫌いじゃねーけどな)
「本ッ当に最悪ッ…！お父さんも月も私を分かってくれないの！おかしいでしょう…！？」
リュ「あぁ。家族のAを理解しようとしないのは、おかしいなァ」
「Lの味方ばっかりするんだよ！どうしてよ…キラのおかげで、沢山救われた人がいるのに、みんな酷い…ひどいよッ…！」
リュ「………え？お前、泣いてるの？」
あのプライドの高いAが、泣き出した。
リュークはギョッとして、Aの顔を覗き込むのであった。
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作者名：あっきー | 作成日時：2019年5月1日 12時
