透明な影と。【斉藤壮馬】

epilogue ページ26

　

　


あれから、どのくらい経つだろうか。


　


　



　


　


界「壮馬さん！！」

壮「わー、界人くん！！来てくれたんだ！！」

界「これ、お土産です。」

壮「お、飲む気満々か？」
　


　



　


　



　


　

あの家から引っ越しをして、少し広い家に来た。



　






　



　


　


　

界「あ、ベランダ広い！！」

壮「いいでしょ〜、ここからの眺め、凄いきれいでさー！！」
　


　

　





　





　


彼女が最後に残した言葉を、今も鮮明に覚えている。



　









界「あれ、壮馬さん景色とか好きだったっけ？」

壮「うん、朝は絶対ベランダ出て、朝の東京を眺めてる(笑)」

界「なんだそれ(笑)」









　

『好きでした。』


　



　




　



　


　


　

　

　

　


壮「・・・空はさ。」

界「うん？」

壮「空は、透明なんじゃないかって思うんだ。」

界「・・・・うん。」

壮「その透明を、個人で色づけする。小道具として影があって、光がある。」

界「さすが、影響されまくりだね。」

壮「でしょ。」

　



　

　




　

　

　



　
引っ越しの準備をしていたときに出てきた、見覚えのない封筒。

　



　


　

　
その中身は、手紙に書かれたポエムだった。



　





　



　



　
空は、透明なんじゃないかと思う。


空を見る人、個人がそこに色を付ける。
　

あの人には、どうか、綺麗で美しい色をつけてほしい。

　
あの人の目に、私がどんな色で映っているのか知りたいから。

　



　





　



　

壮「・・・すぐに誰のものかわかったよ。」

界「ポエムとか書いてたのは、中学生とかのときだったなぁ。」

壮「界人くん、光ちゃんのポエム読んだことあるの？」

界「うん、なんか凄い賞取ってたから、地元の同級生たちは皆知ってるよ。」

壮「へぇ・・・・」









　


　

　


空が夕に染まり、あっという間に暗くなった。







　





界「じゃ、飲みますか。」

壮「三人で。」




　


　



グラスを合わせる。


　


　

　

　

　

　

　

　

　

　

今日は、彼女が俺の前から姿を消した

　


彼女の命日。


　


　



　

　


〜ｅｎｄ〜

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