透明な影と。【斉藤壮馬】

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光ちゃんが帰ってこないまま、夜が明けた。

　

　

　



　

一体、どこにいるのか。

　


心配で仕方がない。

　


　



　



　


　



彼女のせいで、すっかり


　

朝ベランダへ行くようになってしまった。


　


　



　



たとえ、光ちゃんがいなくても。



　





　



　


　


　


(界人くんなら、居場所を知ってるかな・・・・ )

　


　




そう思って、携帯の中から界人くんの連絡先を探していた
　


　

その時。
　









　



　





　


　

　

「あれ、壮馬さん・・・・・？」
　

　



　


背後から、彼女の声が聴こえた。


　

　




　







　

　

　

　



壮「光ちゃん・・・・・」

「すみません、遅くなってしまって・・・・」


　


　



　

そう、ふわりと微笑んだ。




　



　




　

　









その顔を見た瞬間、彼女に向かって両腕を伸ばしかけた。


　









　





　

壮「あ・・・・」

「壮馬さん？」

壮「・・・・ごめん、何やってんだ俺・・・・・・」


　




　



　


　


　

　




　
彼女を、抱きしめたかった。


　


　


　
抱きしめて、温もりを感じたかった。








抱きしめて、安心したかった。


　



　



　





　









それは、昨夜。
　




　
このまま、彼女が帰ってこなかったらどうしようという、


突発的な不安感にかられたからだった。
　


　



　









　


でも、彼女は幽霊で、触れることはできない。

　

　
　
温もりも感じれない。

　


安心もできない。



　





　



　


それに・・・・・
　



　


　





　





　

　

『帰ってこなかったら』なんて、
　


　



いつ、どんな時に成仏して
　


　


ここから消えてしまうかなんて、分からないのに。


　


　






いつか、元の生活に、


　


　
光ちゃんのいなかった生活に戻るのに。


　


　




　



　



　


　

　

何を考えてしまったんだろう。

　


　

　


　

今の自分は、とても・・・・・・・



　




　




　




　

　


　


　

　

　

　
とても、醜い。

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