第81話 渡したいもの ページ34
そして準備が着々と進みイタリアに向かう日が来た。
時間は人気のない真夜中の3時。
普段場内の見回りをしている衛兵たちがなるべく通らない道と、Aと執事しか知らない隠し通路を使って馬小屋へと向かう。
本当は一刻も早くイタリアに向かいため、ホワイト家の馬車と船を手配したいのだかそれでは他の従者たちにばれてしまう。
時間はかかってしまうが愛馬のミーアに乗っていくしかない。
A 「では、あとは頼みます。私がいないことを悟られないよう時間を稼いでください。私もなるべく早く戻ります。」
執 「畏まりました。
どうかくれぐれもお気をつけて。アルヴェルト様は優しくいて賢い方です。
大事な愛娘たちのことを思えばきっと貴女方のお力になっていただけるはずです。」
メ 「A様、今なら門の周辺は誰もおりません。チャンスです！
アレッタ様のためにどうかお願い致します。」
二人の言葉に頷きメイドにフード付きローブを着せられミーアに跨がろうとしたその時。
ア 「Aお姉さま！！」
A 「アレッタ！？ここまで来なくていいと言ったのに、貴方は少しでも休んでおかないと。」
ア 「ごめんなさい。どうしてもお姉さまのお見送りがしたくて…。」
A 「アレッタ…。」
ア 「あ、それとお姉さまに渡したいものがあるの！」
そう言うと自身のポケットから何かを取り出した。
A 「これは…リボン？」
ア 「はい。お姉さまのお守りがわりになればと思って。たいしたものではないけど、1針1針お想いを込めて作ったの。」
淡い黄色のそれはとても上質な布からできており、普通にお店でも売っていても可笑しくないほどの出来映えだった。
これを1から自分の手で作ったのかと思うと胸が熱くなった。
A 「アレッタ本当にありがとう。ずっと大事にするわね。」
フードの邪魔にならないようしたの方で髪をそのリボンで結ぶとAは3人の顔を見た。
A 「じゃあ行ってきます。」
Aはフードを深く被りミーアに跨がりもう一度アレッタと目を合わせ頷きあうと手綱をしっかりと握りしめ裏門へと走った。
その後ろ姿を闇夜に消えるまで３人は並んで見送った。
続く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミユツナ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/akimiyu17/
作成日時：2016年1月29日 17時
