大空に舞う白雪第２章 (ページ13)

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第61話　頑固という優しさページ13

ジョットSIDE

俺が高台に着くとやはりAはいた。

ジ「A。」

彼女に近づき、名前を呼ぶとゆっくりと振り向いた。

貴「ジョット…。」

ジ「こんなところでどうしたんだ？探したぞ？」

貴「…………。」

笑顔で話しかけても、教えてくれないのはとっくに分かっている。

それはAが頑固だから。

だがそれはただの意地はりではなくて、自分の大切にしている物に心配をかけたくないAの優しさから生まれる物である。

Aは昔から自分以外の誰かが傷つくのを人一倍恐れていた。

過去に何があったのか知らないが俺や、Gがケガして帰ってくると泣きながら怒り、目を真っ赤にしながら一生懸命手当てをしてくれていた。

そして手当てが終わると、「帰って来てくれて良かった…。」と必ず言うのだ。

俺たちが何故ケガをしているの言えなかったとしても必ずそう言ってくれるんだ。

だから俺も…。

ジ「とにかくAが無事ならそれでいい。だがもう帰ろう。俺たちの家に…。皆待っているぞ。」

来ていたマントを脱ぎ、Aの肩にかけてやる。

そのときに触れた肩が小刻みに震えていることが分かった。

Aが何かを隠しているのは知っている。

俺の直感ではない。

それは長年Aと過ごしていたから分かることである。

Aが好きで隠しているのではないことくらい。

不意に陰を落とし、何かを俺に言おうとしているのを俺は知っている。

必死に何かを伝えようと…。

だから俺はAの口から何かを伝えてくれるのを待ち続ける。

どんなに時間がかかったとしても、俺からAから去ることは絶対にないから…。

そんな俺の思いを少しでも伝えたくて、Aの肩を右腕で少しぎゅっと強く抱きながら帰り道へと歩き出した。