先輩としての距離 ページ48
「やっぱ主任だ」
坂本くんは下を向いてクククと笑っている。
「えっ？何っ？なんかおかしい？」
「いや、いつも通りな感じが嬉しくて。そのチョコ、黙々と旨そうに食うとことか」
「……」
いくら社食で偶然会ったとはいえ、こんな空気になると結弦くんに悪い気がする。
結弦くんのＣＭのチョコを食べてるから余計にそう思うのかもしれないけど。
「そういえばあの彼とはその後上手くいったんですか？」
どっからその話題に繋がるのか、いきなり聞かれてびっくりする。
「うん。今、付き合ってるよ」
「そっか。じゃあ幸せなんですね」
「うん。大事にしてもらってるかな」
だからあなたとはこんな風に会ってはいけないんです。
ただの先輩後輩としての距離を保たないと。
「まぁ俺とバッタリ会った時はただの後輩としてお願いします」
この子はほんとにエスパーか？と時々思う。
そういえば坂本くんにはこういうところがあった、と思って時計を見ると、ちょっと予定をオーバーしていた。
「げっ！やばい。私時間だからもう行くね！」
慌てて席を立ってロッカールームに飛び込む。
すると先にいた後輩の内田さんに話しかけられた。
ちなみにこの子も今時の女子だ。
「さっき主任が一緒だった国際部のイケメンって知り合いなんですかっ？」
一瞬誰のことかと思ったけど一緒にいたのは坂本くんしかいない。
「え。うん。前にいた支店の後輩」
「えー！！いいな！！あんな人と知り合いで」
内田さんは元々バサバサしてる睫毛に更にマスカラを塗りながら言う。
その内田さんの口ぶりからはなんとなく“紹介して欲しい”という空気が滲んでいて、ちょっと面倒くさいことになりそうだと警戒してしまう。
「そう？新人の時から知ってるからなぁ。そんなにありがたくは感じないけど」
「異動してきた時から結構みんなザワついてます。国際部にイケメン来たって！」
これは前に告られたなんてバレたら恨みを買いそうだと焦る。
「へぇ、そうなんだ。坂本くんモテるんだなぁ」
他にも彼女がいるのかとかいろいろ聞かれたけど、全部知らないと答えた。
実際、私は本当に何も知らなかったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっき(プロフ) - エミルさん» コメントありがとうございます(*^^*)今後はハラハラドキドキというかなんというかの展開（なんだそれ）になりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです！お互い楽しんで書けるのが一番ですよね！頑張ります。 (2021年11月23日 21時) (
レス) @page49 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 自己満足で書いているけど、やっぱり読んでいる方がどう思われているのか気になりますよね〜。この先はハラハラしそうな展開でしょうか？移行後も楽しみにしていますね。 (2021年11月23日 10時) (レス) @page50 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 鹿さん» この後徐々に何かが起こります！（そりゃそうだ）私ももっと日常の羽生さんを書いてみたいなーと思います。（願望）いつもコメントありがとうございます(*^^*) (2021年11月22日 22時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 何かが起こりそうな予感がぷんぷんする！続きめちゃ楽しみです＾＾羽生さんのご自宅での様子が垣間見れて幸せでした！確かに、読者さんの顔が見えないのはさみしいですよね＾＾ (2021年11月22日 16時) (レス) @page50 id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 鹿さん» 相談相手、いると良いですね。スケートのことなら誰にでもサラっと聞いちゃいそうですよね。んでプライベートのことは話さなそうなイメージです。昌磨さん、平昌の時に比べるとメチャクチャ大人になってました。可愛いからカッコいいになりました。私の中で（笑） (2021年11月16日 8時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らっき | 作成日時：2021年10月13日 14時
