２人の恋２

冷静な囁き ページ42

【主人公】

２人の関係が周囲に知られていくことは、嬉しさよりも不安の方が強かった。

私には結弦くんの彼女だと胸を張れるような何かが何もないから。

どうして信じられないのかと思う。
どうしてこの関係に自信が持てないのかとも思う。

２人で好き合ってればいい。そんなの単純な話だ。

でも今が幸せであればあるほど、冷静な自分が囁いてしまう。

『本当はわかってるんでしょ？』
『最初から思ってたでしょ。期間限定だって』
『わかってたでしょ。私とは違う種類の人だって』

憧れに手を伸ばしてそれをしっかり掴み取る結弦くんと、憧れには決して手を伸ばさない私。

高みを目指してどこまでも進む結弦くんと、目の前の仕事さえ上手くこなせずに立ち止まる私。

本来は交差することのない２人の人生が、たまたま交差してしまったこと。

そして交差点を過ぎたら、もう自然と離れていくしかないこと。

そう。本当は全部わかっている。

だけど今ここにある２人の気持ちが本物だってこともわかってる。

それならば、不安を越えて、信じるしかないよね。




「あっ、ゆづるく…や、やだ」

「ふふ。全然、いやって声じゃないでしょ、それ」

結弦くんが微笑みながら私を愛撫する。

「あっ…やっ…も…だめ」

「もうだめになっちゃうの？まだ始まってないのに？まだ俺に付き合ってよ」

こんなに強く求められて、
こんなに優しく抱かれていても、
どこかで寂しく感じてしまうのはどうしてなんだろう。

でも私たちは確かにこんなに想い合っているから。

結弦くんの目が閉じられ、その顔が快感に歪む。

私の名前を小さく呼んで
結弦くんが崩れ果てるまで
その身体に強くしがみついていた。

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