真意パニック�� ページ49
「あれ、誤解だよ」
「……ご、誤解？」
「うん。あれは俺が人狼とかいう意味じゃなくて、また人狼ゲームかよ……っていう呟きで……」
聞きたくない。そうはっきり遮った声が、今までのライチとは違っていた。
「……もう、良い。ぼくに入れれば」
投げやりに言われて皆を見れば、既にいくつもの黄緑の光が灯っていた。
「……ごめんな」
最後にそう言って、俺はボタンを押した。
「嫌だ……」
『処刑先は――』
「……嫌だ！！」
ライチが叫んだ。本気で、死にたくないと訴える悲痛な声で。
「嫌だ嫌だ嫌だ！！ こんなの不公平じゃん！！ 何で！？ 何で兄さんばっかり！！ 父さんも母さんも、兄さんばっかりだ！！」
そう泣き叫ぶライチの顔は、恐怖だけでない、様々な感情で歪んでいた。
「助けてよ！！ 助けろよ！？ 兄だろ！？ 曲がりなりにも兄さんだろ！！ ぼくの兄さんなんだろ！！」
「……」
稲妻は何かを言いかけて、再び口を閉ざす。その顔は、俺の位置からは見えない。
「……兄さんは良いよな、褒められて、ゲームでも生き残れて、ぼくみたいに話し下手でも、人見知りでもなくて」
涙と一緒に、ライチの言葉はぽろりと落ちた。
「……それでも、兄さんは生きてほしいな……」
その刹那だった。部屋中に連続して、大きな銃声が響き渡った。俺は思わず目を閉じて耳を塞ぐ。
「……！！」
一瞬だった。ライチのセーターが赤黒く染まり、もはや原型を留めていないものが倒れ込むのは。
「……ライジ」
稲妻が呟いた名前は、恐らく、ライチの本名なのだろう。
「……ごめん……！！」
それまで無表情だった彼が泣いている事に、俺は初めて気がついた。
「……稲妻様が、人狼なのですね？」
まことさんが静かに問う。俺は思わず、ライチのそばに寄って座り込む稲妻を見た。
「……稲妻様と、くじら様が人狼なのでしょう」
稲妻は黙ったまま頷いた。頬を流れた涙の後が痛々しかったが、微笑みすら浮かべて彼は言った。
「ライチの話を聞いた時……くじらがもう一人の人狼なんだと思ったよ」
「でも、バレたくなかった貴方は、実の弟を人狼と言った。ですよね？」
「……否定する言葉もないな」
微笑んで厳しい言葉を言うサクラさんに、微笑みで返すほど、稲妻はどこか余裕があった。
「……このゲームで負ければ、おれ達は本当に命を失う。……だからさ」
稲妻の次の言葉で、俺は彼が余裕そうにしている理由が分かった。
「……ルームマスターを、探そうよ」
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くろーさぎ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます……！！そう言って頂けると大変励みになります！閲覧ありがとうございます！(* > <)ﾍﾟｺﾘ (2019年8月10日 17時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんにちは。面白くて一気読みしました！普段、恋愛系の作品しか読まないのですが、こういうのも良いですね。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月10日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ランさん» コメントありがとうございます！！はい、更新頑張らせて頂きます！閲覧ありがとうございました！m(_ _)m (2019年7月2日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - イベントの方から来ました。読ませてもらいましたが、人狼ゲームのお話はあまり読んだことがなかったのでとても面白いと感じました。更新楽しみにしています♪ (2019年7月2日 15時) (レス) id: 48cb23a0f9 (このIDを非表示/違反報告)
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