JUMPの闘病生活。３ (ページ5)

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家族と相棒ページ5

涼介サイド

裕翔「え、侑李移植受けたの？」

裕翔は安心したように微笑む。

涼介「先生から聞かなかったの？」

裕翔「うん、聞きたいことがあるなら全部自分で聞いてこい、だってさ」

涼介「へぇ。髙木先生？」

裕翔「うん。よくわかったね」

涼介「まあね。あ、学校どう？」

裕翔「合唱コンクールあるから今は練習してるんだけど、男子と女子が対立してる」

俺は「あはは」と笑う。

合唱コンクールなんてやったことない。

みんなで歌ったことはあるけど、歌を審査されるなんて想像もつかない。

裕翔「あと部活入ったんだ。野球部。入院する前は入ってなかったんだけど、なんかやりたくなっちゃったから」

涼介「野球かぁ。いいね」

有岡先生「どこやるの？ピッチャー？」

今まで空気を読んでくれていたのか、会話に入ってこなかった有岡先生が口を開いた。

裕翔「まだ決まってないよ。１年生よりも新人だから」

涼介「たしかに。まぁ、裕翔ならどこでも大丈夫だよ」

裕翔「そーだといいんだけどね」

裕翔は窓の方を見つめた。

裕翔「ほんとに久しぶりだなぁ。この景色、毎日見てたのに」

そう言った裕翔の横顔は、少し大人っぽい。

裕翔の横顔を見ていたそのとき、下腹部に痛みが走った。

俺は唇を噛んで耐えた。

でも、痛みは強くなってくる。

布団の下で、拳を握る。

プルルル、と電話のコール音がなった。

裕翔が申し訳なさそうにスマホを取り出して、電話に出る。

裕翔は「え？……あ、わかった」と言って電話を切ったあと、「ごめん、もうそろそろ帰らないと」と言った。

裕翔「じゃあね、また来る」

涼介「……うん。ありがと。待ってるね」

裕翔は、有岡先生に「そようならー」と言って病室を出た。

有岡先生「大丈夫か？痛むんだろ」

まだ何も言ってないのに、有岡先生は俺のお腹を触ってそう言った。

だんだん痛みが増してくる。

涼介「な、んで？なんで、わかったの？」

有岡先生「勘だよ。腹痛だけ？他は大丈夫？」

涼介「だい、じょうぶ……っつぅ、はぁ……」

有岡先生「無理すんなって言ってんのに」

涼介「はぁ、ごめ……。でも、俺、兄ちゃん、だから……」

有岡先生「喋んなくていい。落ち着いたら全部聞くから、今は黙ってろ」

痛みが治まったのは、数十分後だった。

有岡先生「兄ちゃんだってな、弱いところの１つや２つ、見せてもいいんだぞ」

涼介「嫌だよ。俺、強い兄ちゃんになりたいもん」

俺がそう言うと、先生は笑った。