光と闇 ページ32
侑李サイド
倒れてからもう5日経つというのに、涼介は起きなかった。
このまま消えてしまいそうで、すごく怖くて。
少しでも一緒にいようと思い、早起きをして、学校が始まる前も病院に来るようになった。
部活もどうしようか迷ったけど、伊野ちゃん先生にも大ちゃん先生にも「部活行けよ」と言われた。
「涼介はそんなこと望んでない」って。
僕自身も部活に入っていきなり休むのは生意気だと思ったから、部活は行くことにしている。
侑李「ごめんね、涼介。もういかなくちゃ。ショートケーキ置いておくから、起きたら……もし起きたら食べてね」
僕は最後にそう言い残して、病室を出た。
それからは全力疾走で学校まで行く。
ギリギリまで涼介の部屋にいるから、学校に着くのはクラスでいちばん遅い。
侑李「海、おはよ」
海「おはよー。今日もギリギリセーフだね」
僕が「うん」と言ってリュックから教科書を取り出したのとほぼ同時に、予鈴がなる。
僕は急いでリュックをロッカーにしまい、席についた。
朝の会のとき、先生が話しているのを聞き流し、涼介のことばかり考えていた。
授業は家で勉強をしなくてもいいように集中しているけど、海からは「ボーッとしてたでしょ？」と言われたのだから、集中しきれていないのだろう。
涼介、起きてるかな……。
起きてたらいいな。
そんなことばっかりを考えていた間に、授業は終わった。
今度大ちゃん先生に聞かないと、テスト０点取っちゃうよ。
侑李「部室いこー？」
帰りの会が終わり、僕は海と部活に行こうとした。
海「え？ 部活ないよ？」
その言葉を聞いて、僕は目を丸くする。
侑李「なんで？」
海「朝、先生が言ってたよ？ 部活、今日やらないよって」
侑李「そーなの？ じゃ、じゃあね！」
海「バイバイ」
海は苦笑しながら手を振っている。
僕は手を振り返しながら走り出す。
病院には、5分くらいで着いた。
朝も夕方も走っているから、自然と体力がついてきた。
僕は返ってくることはないとわかっているけど、病室の扉をノックする。
「はーい」
声が返ってきたときはビックリした。
でもすぐに、その声が涼介のものではないことに気付く。
扉を開ければ、そこには裕翔の姿があった。
裕翔「涼介、さっき起きたらしい」
裕翔のその言葉を聞いて、僕はベッドの隣に置いたケーキを見る。
上に乗っていた苺だけなくなっていた。
裕翔「今日は話があって来たんだ」
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作者名：J | 作成日時：2020年5月20日 11時
