JUMPの闘病生活。３ (ページ20)

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家族と相棒ページ20

侑李サイド

伊野尾先生「大ちゃん、涼介お願いしていい？点滴とか。わかるでしょ？」

有岡先生「うん」

伊野ちゃん先生が涼介をベッドに寝かせた。

僕は、苦しそうな涼介を見ていることしかできなかった。

伊野ちゃん先生は涼介を寝かせると大ちゃん先生が交代して、大ちゃん先生が涼介に点滴を繋いだ。

伊野尾先生「侑李、おいで」

伊野ちゃん先生は病室の扉の前で立ち止まり、そう言った。

僕たちは病室を出る。

伊野尾先生「手、見せて」

僕が右手を差し出すと、伊野ちゃん先生は「真っ赤だね。痛いでしょ？」と言って、頭を優しく撫でてくれた。

伊野ちゃん先生が「入っていいよ」と言った部屋は、知らない部屋だった。

病室でもないのにベッドが置いてあり、薬がたくさん並べられている。

これで狭くて汚かったら完全に怪しい部屋だけど、病室と同じくらいの広さで床も壁も真っ白だった。

いろんな薬があるんだな、と周りを見回していると、それに気づいた伊野ちゃん先生が「医者用の部屋だよ」と教えてくれた。

伊野ちゃん先生に「ベッドに座って」と言われた僕はベッドに腰掛ける。

伊野尾先生「冷たいの当てるね」

伊野ちゃん先生はそう言ってから、僕の手に氷のうを当てた。

侑李「ごめんね、仕事増やしちゃって」

僕がそう言うと、伊野ちゃん先生は「別にいいよ」と笑って言ってくれた。

伊野尾先生「逆に減ってるから。ちょっとサボれるし」

伊野ちゃん先生がそう言うのは、なんとなくわかっていた。

いつだってそう言うんだもん。

それが優しさであることも、伊野ちゃん先生はサボるような人じゃないことも、ずっと前から知っていた。

伊野尾先生「痛み止めとかいる？」

侑李「いらない」

伊野尾先生「包帯巻こっか？」

侑李「いいよ、そんな痛くない」

そんな僕の返事に、伊野ちゃん先生は「湿布だけは貼らせろ」と言って、大きめの湿布を貼ってくれた。

目立つから小さいのが良かったのに……と思ったけれど、包帯を巻かれなかっただけまだいいかという自分もいて、心の中に閉まっておいた。

伊野尾先生「どうする？ここにいる？」

侑李「……ここにいてもいい？」

伊野ちゃん先生は、もちろん、と言ってくれた。

怖かった。

あんな涼介を見るのが怖くて戻れなくなってしまった。

そんなんじゃダメだ、と拳を強く握ると、右手に鋭い痛みが走った。

今は何故かそれが心地よかった。