JUMPの闘病生活。３ (ページ14)

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家族と相棒ページ14

涼介サイド

有岡先生「なぁ、元気出せよ」

涼介「……うん」

俺を見て、有岡先生が困った顔をした。

いつもだったら笑ってごまかしていたかもしれないけど、今はただ俯くことしかできない。

朝目覚めたとき、侑李がいないとこんなにも寂しいもんなんだと、改めて実感した。

そして、一緒にいられないだけでこんなにも不安になるのか、と何度も思った。

俺がそうなることがわかっていたかのように、有岡先生がずっと隣にいてくれていた。

有岡先生「もぉ、侑李つれてくるから、元気出してよ」

涼介「じゃあつれてきて」

有岡先生「わかったよ、ちょっと待ってろ」

先生が嘘をついているのだと思い、冗談で言ったのに、有岡先生は部屋を出た。

思わず「マジかよ……」と心の声が漏れてしまった。

俺はベッドから降りて、病室の窓から下を眺める。

病室からは、この病院から外に出るために絶対に通らないといけない庭が見える。

眺めていると、有岡先生がそこを走っているのが見えた。

でも病院から出る途中、5歳くらいの小さな男の子が有岡先生に抱きつく。

有岡先生はその男の子を抱っこしたり、その子のお母さんと思われる人と何か話したりしている。

涼介「なんだよ」

俺がそう呟くと、道を曲がり、こっちに歩いてくる小さな人影が遠くに見えた。

顔は見えなかったけど、なぜか侑李だという確信があった。

病院指定の服を着ていない侑李を見るのは初めてだ。

いや、正確に言えば〝久しぶり〟だけど、ずっと昔のことだから私服を着ている侑李を覚えていない。

覚えていないのでは、初めてみたいなものだ。

視線を有岡先生の方に戻すと、子供が増えている。

さっきの男の子より少し大きな女の子と、俺と同じくらいの男の子、そのお母さんや、お父さん。

有岡先生は、いろいろな人に囲まれていた。

そのせいか、侑李には気づいていないみたい。

それにしても、有岡先生、人気者だな。

そう思いながら有岡先生を見つめていると、そのとなりを男の子が素通りした。

侑李だ。

ずっと遠くにいたはずの侑李がもう、すぐそこまできていた。

さっきは細かいところまではわからなかったけど、侑李は少し大きな服を着ていて、萌え袖になっている。

ズボンは膝が隠れるくらいの少し短めのもの。

涼介「可愛い」

俺がそう言った瞬間、侑李がこっちを見て手を振った。

俺も手を振り返す。

侑李は走り出した。

やがて、病棟に入ったのだろう。窓から見えなくなった。