JUMPの闘病生活。３ (ページ2)

今日:35 hit、昨日:4 hit、合計:93,397 hit

家族と相棒ページ2

伊野尾先生サイド

――――涼介が死んだら僕も死ぬ

さっき、侑李がこんなことを言っていたのを思い出した。

回診を終えた俺は、侑李のいる病室に向かう。

侑李が言いたいのは、それくらい涼介のことが大切で大好きだっていう意味なんだろうけど。

本当にそうなるかもしれない、と俺は思った。

涼介が死んでしまったら、侑李は生きられるのだろうか。

お互いの体調に影響されあうのだから、片方の心臓が止まって、もう片方の心臓も止まってしまう可能性も、限りなく低いがあるにはある。

俺は、頭の中に浮かんだ最悪の考えを振り払った。

コンコンっと扉をノックすると「はーい」と元気な声が聞こえる。

俺は扉を開ける前に１度笑顔を作ってから、病室に入った。

侑李「また伊野ちゃん先生か……」

伊野尾先生「なんだよ、俺のこと嫌いなの？」

侑李「そーじゃない！先生、休憩時間は休憩するためにあるの知ってる？」

伊野尾先生「知ってる。ここに休憩しに来てるんだよ」

侑李「倒れても知らないからね」

侑李は、ぷいっと横を向く。

こんな言い方だけど、心配してくれるのはわかっているから、「ありがとう」と言う。

侑李は「……どーいたしまして」と言ってほっぺたを真っ赤にして俯いた。

伊野尾先生「なーに？照れてるの？」

侑李「違うもん。そうじゃない……もん」

ムキになる侑李が可愛くて、思わず頬が緩んでしまう。

侑李「それよりさ、涼介のこと、知ってる？」

伊野尾先生「うん、いろいろと」

大ちゃんが涼介のそばにいて、状態を連絡してくれるから、なかなか会えなくても、大体はわかる。

侑李「知ってること全部教えて」

伊野尾先生「聞いて後悔しない？」

侑李「悪い話なんだ……。でも、しないよ」

侑李は真っ直ぐ俺を見た。

いつもより強い眼差し。

いつもより大きく開けられた目からは、可愛さが消えていた。

伊野尾先生「検査の結果が出てね、やっぱり進行してた。でも、まだ移行期。ちょっと前の侑李と同じだよ」

侑李「でも僕より苦しそうだよ？」

伊野尾先生「人によって違いはあるから」

侑李「僕の骨髄は分けてあげられないの？」

伊野尾先生「まだダメだよ。手術したばかりでしょ？」

侑李「そっか……」

侑李は、諦めたように「僕には何もできないんだね」と言った。

侑李「何で僕が先だったんだろう。涼介が先だったら、涼介は助かっていたのに」

侑李の目に涙が滲む。

侑李は、その涙が溢れないように、必死に耐えていた。